Warning: Undefined variable $needReplaceWords in /var/www/html/uzcms/rhuwovri.com/index.php on line 1355 セミナー/インタビュー - SAKATA 一世紀以上の経験と実績に基づき「楽々倉庫」を通じて新たな価値創造を目指す Wed, 03 Jun 2026 04:37:51 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.3 /wp-content/uploads/2021/07/sakata_icon4-130x130.png セミナー/インタビュー - SAKATA 32 32 第570号 これからの物流について一緒に考えましょう(後編)~物流2024年問題、物流統括管理者(CLO)など~(2025年12月16日発行) /logistics-570/ /logistics-570/#respond Tue, 16 Dec 2025 00:00:00 +0000 /?p=21192 執筆者 浜崎 章洋 氏 大阪産業大学 経営学部商学科 教授  執筆者略歴 ▼ 略歴 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。 タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会 […]

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執筆者 浜崎 章洋 氏
大阪産業大学 経営学部商学科 教授

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
    • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
    • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
    著書
    • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
    • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
    • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
    • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
*前号(2025年12月4日発行 第569号)より

目次

ちょっと一息 (参考)

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ここで、ちょっと一息なのですが、「グリーン物流」が今から20年ぐらい前に流行りました。
このとき、荷主の経営層が積極的に採用したのです。これはなぜかというと、ちょうど、CSR(企業の社会的責任)とか、「環境報告書」 *2 が流行った時です。国交省の2023年度統計値では、運輸部門から日本の温室効果ガス排出量、CO2の約20%が排出されていて、これを削減すると消費者に大きくPRできるので、物流の効率化、CO2の削減、モーダルシフトをどんどん進めていこうということで、荷主の経営層が理解を示してくれました。
さらに今から10数年程前に、「ホワイト物流」 *3 が流行りました。
【注】
*2. 環境省hp,「もっと知りたい環境報告書」 https://www.env.go.jp/policy/hairyo_law/post_160.html
*3. 「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト https://white-logistics-movement.jp/
倉庫で働く人やドライバーさんとか、物流部門で働く人の、長時間労働を是正していきましょうとか、きちんと休みを取らせてあげましょう、というホワイト物流という言葉(取組み)が出てきたのですが、それって物流部門の役割でしょうとか、物流会社で解決しなさいということで、荷主の経営層は、あまり関心がありませんでした。
今この、「2024年問題」ということで、当初、ちょうど1年6ヶ月程前、2023年の年度が始まった2023年4月ごろは、荷主の経営層はあまり関心がなかったと思います。このときは、1年後に2024年問題が始まりますといった、ニュースとか新聞の報道が、「宅配の荷物を受け取れなくなる」という報道に偏重していた、ということもあると思います。
「これだけ通信販売が増えているのに、宅配でモノが運べなくなります、皆さんどうしますか」、みたいな報道ばかりだったのです。去年の秋頃、ちょうど1年ぐらい前から、例えば、九州の宮崎県から農産物が運べないとか、北海道からの水産物が東京の豊洲市場のセリに間に合わなくなる、みたいな報道が増えてきて、そのあたりから荷主の経営層の方々も、物流は大丈夫なのかと言って、多分、(物流関係者である)皆さんのところに声がかかったのも、ちょうど1年ぐらい前ではないかと思います。
私は去年の秋、ちょうど1年ぐらい前の今頃、2024年問題バブルとなり、いろんな会社から講演依頼とか、社内研修の依頼をいただきました。これは、何を言いたいのかというと、物流2024年問題について、我々物流関係者、物流会社、あるいは関係省庁が、いろいろ言っていましたが、荷主の経営層はあまり関心が無かったのです。
半年位前から、ようやく動き始めたという印象を、非常に強く持っています。多分皆さんの会社でも、大なり小なり、似たりよったりではないかなと思います。

2.物流2024年問題について 2)2024年問題の影響

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では、この物流の2024年問題はどんな影響があるのかということで、懇意にしているビジネスパーソンの方々へヒアリングをしました。加工食品系の物流子会社の方で、傭車だけでなく、自社でもトラックを保有し配送を行っている企業ですが、「近距離の配送なので、自社の配送部門は、今のところ大きな影響はないですよ」、ということでした。ただし、全国でビジネスをされていますので、年末12月と、年度末、3月にかけて幹線輸送の部分では、例えば、東名阪の東京と大阪を結ぶ高速道路とか、関東から東北、北海道、といったところの幹線輸送の部分が厳しくなると想定されているということと、長距離輸送は既に、モーダルシフト、あるいは中継輸送を導入をされつつあるということです。
それともう一つは、今、物流拠点の再編、つまり在庫拠点の増設に取り組んでいるということです。その他に、納品リードタイムの延長とか、ドライバーの付帯作業の廃止を交渉しています。この会社の非常に優れたところは、自分の会社だけではなくて、業界として取引先、つまり小売業と卸売業との交渉を行っています。何が言いたいのかというと、自社だけで小売業や卸売業へ交渉に行っても、恐らく進まないのです。
次に、アパレル卸売業の会社の方です。この企業は、いわゆるアウター商品ではなくて、どちらかというとインナー関連のコンパクトな商品を取り扱い、毎日受注し毎日発送していました。これを、受注は毎日受けているのですが、数日分をまとめて発送するように変更しましたということです。元々、大きさが小さいので、数日分でも1納品先にはダンボール1ケースで収まるということです。最初は、物流現場でもそうだし、納品先さんでも若干混乱があったそうですが、今はお互いに慣れて、落ち着いているということです。
また、現在でも、関西から西に向かうトラックの手配は厳しいと言われていました。これは実は、私も関西にいるのでよく聞きますが、九州方面行きのトラックを確保するのは、どの会社でも厳しいと伺っています。年末とか年度末に向けて、これからどんどん厳しくなっていくと言われています。
2024年問題は、2024年4月からスタートして、上半期、9月までは、皆さん何とかやっていけたと思いますが、これから12月の年末繁忙期と年度末3月の決算とかの、繁忙期を迎えてくると、対応が更に困難になる、こんな危機感を持っているのではないかと思います。

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これは参考までに、タイミーってご存知ですか。今、朝ドラの主役の橋本環奈さんがコマーシャルをしている、スキマバイトのタイミーさんがアンケート調査をされました。「2024年問題」について、約4割の企業が対策のめど立たず、だそうです。燃料費とか人件費が上がってますとか、「時間外労働時間規制」で働きやすさは変わらないが、67%という結果が出ています。これは、ネットで検索すると報告書(「タイミー、物流2024年問題に関する実態調査レポートを発表」https://corp.timee.co.jp/news/detail-3651/)がありますので、興味のある方はぜひ一度ご覧ください。

2.物流2024年問題について 3)2024年問題への対策についての例

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先程の、2024年問題について、中継輸送とか、モーダルシフトとか、在庫拠点の見直しとか、いくつか対策例を挙げてみました。荷主のどの部署が対応するのかということで、もちろん物流部が全部対応するのでしょうが、例えば、大阪、東京間の中継輸送では、トラックで行って帰ってくるのではなくて途中の静岡辺りで、ドライバーさんがトラックを入れ替えて戻ってくるので、日帰り運行ができます。これだと物流部が、物流事業者さんと調整すればできます。営業部とか生産部とは、特に調整が必要ないのかもしれません。
次に関東発九州行きの便を、今までトラックで行っていたのですが、今後は長時間運転ができないから、モーダルシフト、JR貨物さんで運びます、となってくると、これは物流部と物流会社さんだけの問題ではなくて、営業部にも耳に入れておかないといけないのです。というのも、パレット単位の鉄道輸送になると衝撃・振動の影響で、商品のダンボールがちょっと擦れるかもしれないとか、営業部から取引先さんへ、2024年問題に対応のため、JR貨物さんに変更しますと伝えてもらわないといけないのです。つまり、物流部だけでは完結しないのです。

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在庫拠点の見直しになってくると、これは物流部や、営業部、生産部だけではなくて、投資が必要ですから、経営層へも相談しないといけません。在庫拠点の見直しというと、私が物流の勉強し始めた頃に学んだのは、上の図から下の図に変わったようなイメージです。
例えば、メーカーさんが、全国9拠点、いわゆる、北海道、東北とか、各経済圏に物流センターを持っていたものを、関東と関西に物流拠点を統合しましょう、物流コスト削減と在庫の削減をするために在庫拠点を集約しましょう、というものです。
これは、なぜこのように拠点集約ができたのかというと、運送会社さんの輸送距離が延びたということと、卸売業さんが全国化、規模拡大をしていったので、メーカーの在庫拠点は2拠点でもいけるようになり、これでコスト削減ができます、とういうことです。
実は2拠点にすると、例えば北東北とか南九州へは、翌日午前中の納品できないから、九州とか、北東北とかに、小型の物流センター、デポを作りましょうとか、北海道にもう1拠点作りましょうというのが、今から20年から、25年ほど前の話です。これだと輸送距離が伸びるので2024年問題に対応できなくなってくると、先ほどの物流子会社さんのように、在庫拠点を今後増やしていかないといけない、ということも今後起こり得るのです。
在庫拠点を増やすということは、経営の判断ですから、物流部門だけではなくて、経営層が関係してきますということです。参考までに、これはBCPの視点からすると、日本海側にも物流センターが必要だと思います。
今、皆さんの物流センターがあるのは、関東と関西、どちらも太平洋側に設置していることが多く、中には(太平洋側の)中部圏に設置している企業もあるかと思います。これは、南海トラフ地震・東南海地震が発生したときに、確実に被災します。ですから九州の北部とか、もう一方の新潟とか、日本海側の方にも、(物流拠点が)必要ではないかと思っています。

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では、納品リードタイムの見直し、となってくると、これは、営業に相談しないといけないし、取引先にも相談しないといけません。今までは納品リードタイムが、午後13時受注締め切りで、当日の午後に出荷作業をして、夕方に運送会社さんに荷渡して、翌日午前中に納品をするとなると、作業をする人もトラックも全部見込みで事前に手配しないといけないのです。ですから今後、受注の締め切り時間を夕方にして、翌日の作業の量とトラックの台数を決めてから手配をして、翌日作業をして運送会社さんへ荷渡しをして、翌々日の納品にすれば、非常に効率化できます。つまり納品リードタイムを見直す必要があるということです。
これは、物流部門だけではなくて、営業部とか取引先にも関係してくるし、経営層にも理解してもらわないといけないのです。

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最後にもう1点、一貫パレチゼーションです。トラックへのケース単位でのバラ積み、バラ降ろしを止めて、パレット単位で流通させましょう、川上のメーカーから、川下の卸売業、小売業の店頭まで、同じ(規格の)パレットでフォークリフトにより、荷役をしていこうというものです。一貫パレチゼーションをすると、物流の合理化、トラックドライバーさんの荷役時間削減のために、非常に役に立ち、物流コスト削減等、作業の効率化に役立つと思いますが、これは、営業部とか生産部門だけではなくて、製品の設計部門にも関係してくるのです。

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一貫パレチゼーションをするためには、「包装モジュール化」といって、このパレットのサイズに合わせて、外装箱とか、商品の外装の大きさを決めていかないといけませんから、包装設計とか製品設計の部署まで関係してくるので、これは、物流部門だけでは解決できないのです。

さいごに

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つまり、これらの諸問題が解決できる、CLOは、やはり役員クラスでしか対応できないということなのです。本日はいろいろとお話させていただきましたが、このCLOにしても、2024年問題にしても、大変貴重なチャンスなのです。だから、あくまで何か規制の対応とか、物流の生産性向上とか、そういうことではなくて、自分の会社の最適化と、サプライチェーン全体の最適化を目指して、持続可能な社会の実現に向けて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
本日ご参加いただいている皆様の会社の、益々のご発展と皆さまのご活躍を祈念いたしまして、以上で私の講演を終わりにしたいと思います。本日はお忙しい中、ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

(C)2025 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.

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第569号 これからの物流について一緒に考えましょう(中編)~物流2024年問題、物流統括管理者(CLO)など~(2025年12月4日発行) /logistics-569/ /logistics-569/#respond Thu, 04 Dec 2025 00:00:00 +0000 /?p=21179 執筆者 浜崎 章洋 氏 大阪産業大学 経営学部商学科 教授  執筆者略歴 ▼ 略歴 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。 タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会 […]

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執筆者 浜崎 章洋 氏
大阪産業大学 経営学部商学科 教授

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
    • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
    • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
    著書
    • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
    • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
    • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
    • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
*前号(2025年11月18日発行 第568号)より

目次

1.CLOについて 2)CLOに対する各社への問題提起

私は大学教員という立場なので、物流業界とか、皆さんの物流のお仕事を外から見ているのです。中に入って日々業務をしているわけではないですし、オペレーションを行ったり計画を作っているわけではないので、外から見ているからこそ見えることがあると思うのです。そういった視点で発言しているということを、ご理解いただければと思います。

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こちらは、これから取り組まれるであろう、各社さんに対する問題提起ということで、こちらに取りまとめています。特定荷主に選ばれようが選ばれまいが、改正物流効率化法が2026年4月より施工予定ですが、数年後にいずれ実施するとして、法律や規制の対応だけで終わるのですか。これは多分、すごく手間と時間とお金がかかると思いますので、それだけではもったいないのです。
つまり、物流コスト削減とか人手不足対応だけで終わってしまうのか、あくまでも物流部門の中で解決させていくとか、物流会社の中で対応するだけで終わってしまうのかというと、このあたりは非常にもったいないと思います。折角実行するのだったら、少なくとも自社の、調達とか生産、販売、物流、全体を一括りにするロジスティクスの最適化、そんなところを目指していただきたいと思います。
更に次の段階では、仕入れ先とか、販売先、取引先も含めたサプライチェーンの最適化を目指していただきたいと思います。これは売上を上げるためだけのことではないのです。いろんな無駄があり、それを改善して、廃棄物を減らすとか、CO2を減らすとか、フードロスを削減するとか、持続可能な社会を実現するために、折角始めるのならここまで取り組んでいきましょう、こういうふうに、問題提起をしたいと思います。
そんなこと言うだけだったら、と思われるかもしれませんが、実はこういう時は、かえってビジネスチャンスなのです。例えば、荷主企業の物流部門の方は、今まで営業部門とか製造部門とかに、かなり悔しい思いをしていませんか。一生懸命努力して、物流コストを削減して、物流改善をして、生産性を高めているのに、緊急出荷が1件か2件あっただけで物流コストが跳ね上がるとかですね。あるいは、一生懸命、業務改善していたのに、これまでの出荷形態が変わってしまい、元の木阿弥みたいになってしまったようなことがあるかと思います。
そのような悔しい思いをされてきた物流部門の方にとって、このような機会は、千載一遇のチャンスではないかと思います。もう一つ、物流会社の方にとってみれば、これは確実にビジネスチャンスなのです。
今日、荷主の物流部門の方が、たくさん参加されていると思いますが、荷主の物流部門の人数は、5年前、10年前と比べて減ってきており、人数が削減されています。皆さんの会社でも以前に比べて減ってきているかと思います。
更に、仕事の範囲は確実に増えています。例えば、新たに海外との輸出輸入が始まったりとか、従来の物流だけではなくて、BCPや、災害時の物流対応について考えないといけないとか、環境負荷軽減策について考えて取りまとめないといけないとか、人手不足の対応策を考えないといけないとか、5年前10年前と比べて確実に業務量が増えているのに、(物流部門の)人数は減らされてきているのです。
その限られた数の物流部門の人員で、次のCLOの業務への対応、いろんな企画をして、改善を行っていくということは、到底無理なのです。ということは逆に言えば、提案力のある物流会社さんにとっては、大きなビジネスチャンスなのです。
取り組みたくてもできない、こういった時は、間違いなくビジネスチャンスなのです。今日ご参加の、荷主企業の皆さん、あるいは、物流事業者の皆さん、物流に関連しているサービスを提供されている皆さんも、ビッグビジネスのチャンスがやって来た、こんなふうに考えていただけるとよいのではないかと思います。

LSCと経営成果との関連性分析

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これは、私が今から25年ぐらい前に、東京工業大学の圓川先生と共同研究を実施したのですが、荷主企業の方々に、LSC(ロジスティクス・スコア・カード)という、その会社のロジスティクスのレベルを診断する簡単な診断シートを使用して、これに回答していただいたものと、その会社の業績を統計分析した結果になります。
ロジスティクスのレベルの高い会社は業績がよく、ロジスティクスのレベルの低い会社は業績が良くないということを、統計学的に証明しました。これは実は日本だけではなくて、東南アジアの企業とか、ヨーロッパの企業、中国の企業にも協力していただいたのです。
例えば、業種を問わず国を問わず、ロジスティクスのレベルの高い会社は業績が良くて、ロジスティクスのレベルが低い会社は業績が良くない、という結果が出ていました。今回のCLOにも関係してくるのですが、在庫を適正化して、ローコストオペレーションを行って、取引先と交渉し、サプライチェーンの最適化に取り組んでいる会社とそうでない会社は、業績が違って当たり前なのです。それで、何が言いたいかというと、こういったCLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)の、対応をされるのであったら、自社の経営改革、あるいは荷主の経営改革を、どんどんと進めていっていただきたい、こんなふうに思っている次第です。
では、どんな人が向いてるのかですが、これは私の経験則から少し事例を集めてきました。私は日本ロジスティクスシステム協会時代に、物流技術管理士講座の事務局を担当していたのです。当時、私は関西担当だったのですが、1期あたり100人から120人位の参加者がいて、計15期を担当し延べ1,500人ぐらいの卒業生をサポートしてきました。あとは、コンサルティングをやっていたときも、物流管理部門のお客様がいたりとか、大学教員になってから、いろんな企業の方とお付き合いしている中で、お会いする方の役職は各社様々で、サプライチェーン担当役員とか、ロジスティクス担当役員、物流部長とかなのですが、いわゆるCLOの立場のお仕事をされていた方の役職は、大体3パターンあります。

1.CLOについて 3)CLOの事例

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1番目のパターンは、一番積極的なタイプの方で、元々物流が専門ではないのですが、例えば、元々生産部門とか、営業部門、そういった方が調達とか、生産、販売の責任者をされてから、物流・ロジスティクス部門に来られて、いわゆるチーフ・ロジスティクス・オフイサー、CLOのようなお立場になられた方です。
例えば、関西に本社がある、食品メーカーさん、日用雑貨メーカーさん、小売業さんで、生産、購買、調達、営業部門の複数の部署を経験されてきた方が、物流の責任者をされたというパターンが結構ありました。そんな方々に、いろいろお話を聞いていると、「物流部門へ来て、今まで自分がどれだけ営業のとき、酷いことしていたかというのがよくわかった」、今は、営業部門に当時の部下がいるので、「もうアカン、(締め時間を過ぎており)緊急出荷を止めてくれ」と言ったら、元上司ですから聞いてくれるとか、「実は営業の手の内がわかっている」とか、「元部下がいるから説明しやすいんだ」等、そういったことを言われていました。
2番目のパターンは、他部門の経験があまりなくて、物流・ロジスティクス部門一筋の方が、その部門長になり、CLOになられている方です。こちらも関西に本社がある、電機メーカーさんとか、大手加工食品卸売業の方で、どちらも元々ずっと物流、ロジスティクス畑の方です。物流、ロジスティクス馬鹿なのかというと、決してそうではなくて、非常に全体を俯瞰して見られているのです。こうあるべきではなくて、営業とか調達部門の方の話もよく聞かれますし、「理想はこうだけれども、とはいえ、取引先のあることだから」と言って、その辺りは非常に上手くバランスを取られており、(部門間の)調整が非常に上手い、という印象を受けています。
どちらが良い悪いというのではなく、その会社の、例えば社風だとか、あるいは業界の特性だとかがあるかと思います。
3番目のパターンは、たまにあるパターンなのですが、中途採用の方が、そのままそこの会社のロジスティクス部門の責任者になられたという方で、もちろん元いた業界でそういった立場におられた方なのですが、同業者であったり異業種であったりしますが、その会社へ来て、ロジスティクス部門の部門長に着かれたという場合があります。この場合は、関連部署の方とコミュニケーションがとれるまで、少し時間がかかることもあるかと思います。
また時々、管理部門の管理職の方が、ロジスティクスの担当者、あるいは、責任者になられることもあります。例えば、総務とか経理の担当の方が、責任者としてくるということもあるかと思います。
私は、経理部門の方は、ロジスティクスの責任者に向いてるのではないかなと思っています。物流は、全部数値で表すことができます。コスト、生産性、品質について、経理財務部門の方は、数字で語る、数字を見ることに、非常に長けているからです。
どのパターンの人材がよいのかというのは、私がアドバイスできる立場にはないのですが、皆さんの会社で、CLOを選ぶときのご参考になればと思います。
荷主企業だけではなく、物流事業者の方にとってみれば、皆さんの取引先の荷主さんとか、主要荷主さんは、どんな人がCLOになるのか、これも皆さんにとって重要な問題かと思いますので、確認をされるとよいと思います。

2.物流2024年問題について 1)2024年問題とは①

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それでは、2024年問題ですが、概要については既にご存知かと思いますので省略し、一番下のところ、今後規制がもっと厳しくなると思われる、トラックドライバーの時間外労働の上限、年間960時間ですが、これはいずれ必ず他の産業と同じように、年間720時間が上限になるかと思います。
ということは、物流2024年問題はゴールではなくてスタートなのです。これから始まります、ということです。では、どんな影響がでるのかというと、物流コストが上がると思われるかもしれません。

2.物流2024年問題について 1)2024年問題とは②

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物流会社さんにとったら、一時的に売り上げが減ったり、利益が減ったりするかもしれないし、ドライバーさんの収入が減るかもしれない、ということなのですが、これは少し怒らないで聞いていただきたいのですが、運賃が上がったのではないのです。これまで運賃が安すぎたのです。物流コスト上がったのではなく、これまでが安すぎたのです。これは間違えないでください。ここ数年で、物流コストが上昇した、運賃が上がった、倉庫費用が上がった、人件費が上がった、のではなくて、これまでが安すぎたのです。過去25年間、皆さんはこの安価な物流コストの恩恵を受けてこられたのです。
それがちょっと値上げをしたら、運賃が上がったと言って大騒ぎしているというのは、外から見ている私からしたら、いやそれはちょっと違いますよ、と言いたいのです。今までが安すぎたのです。人件費が上がっているし、燃料費も上がっているし、法規制(残業時間規制他)も厳しくなっている、だから運賃が上がって当たり前、倉庫の費用が上がって当たり前なのです。こちらの(スライドの)上の3つはお金で解決できる問題なのですが、一番困ることは、荷物が運べなくなることですから、この辺りをどうやって解決していくのかがポイントだと思います。
※後編(次号)へつづく


(C)2025 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.



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第568号 これからの物流について一緒に考えましょう(前編)~物流2024年問題、物流統括管理者(CLO)など~(2025年11月18日発行) /logistics-568/ /logistics-568/#respond Tue, 18 Nov 2025 01:00:00 +0000 /?p=21168 執筆者 浜崎 章洋 氏 大阪産業大学 経営学部商学科 教授  執筆者略歴 ▼ 略歴 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。 タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会 […]

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執筆者 浜崎 章洋 氏
大阪産業大学 経営学部商学科 教授

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
    • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
    • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
    著書
    • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
    • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
    • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
    • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。

目次

  • これからの物流について一緒に考えましょう
  • はじめに ロジスティクスとは
  • ロジスティクスとは②
  • ロジスティクスとは③
  • 1.CLOについて
  • (以上前編)

  • 本論文は、前編、中編、後編の計3回に分けて掲載いたします。
  • これからの物流について一緒に考えましょう

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    皆さんこんにちは、ただ今ご紹介いただきました、大阪産業大学の浜崎でございます。
    本日はお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。少しの間お付き合いよろしくお願いいたします。
    私は、今日京都から来たときは、気温が28度位で暑いので半袖を着て駅まで行ったら、汗だくになりましたが、東京に着いたら少し涼しいなと思いました。今もう10月下旬で、あと2ヶ月で年末です。こんなに暑いというのは、地球温暖化だと思います。我々はいいとして、若者世代とか、次の世代に向けて、こういった環境問題とかに、取り組んでいかないといけないなと思った次第です。
    それでは、簡単に自己紹介をさせていただきます。私は元々メーカーに勤務して、その後、日本ロジスティクスシステム協会(以下、JILSと記載)に約10年勤務し、物流会社でコンサルティング業務に携わったりとかの経験して現在、大学の教員になっている、このような経歴です。

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    このような本を書いていたりしています。ということで、本日は本の宣伝に来たわけではないですよ。私の本は売れているので、特に宣伝しなくてもよく売れております(笑)。
    さて、今日はこんなテーマ「これからの物流について一緒に考えましょう
    ~物流2024年問題、物流統括管理者(CLO)など~」について、お話をさせていただきます。

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    先ほど自己紹介のところでありましたが、メーカーに在籍していたことを、一つキーワードとして挙げたいと思います。メーカーの海外営業部なのですが、野菜とか花の種を扱っている企業です。入社してすぐ2年間は貿易実務、物流関連事務を担当し、その後実際に担当のお客さん持って営業をしていたのですが、営業の仕事のなかで、実は在庫調整というのが非常に重要な仕事だったのです。
    というのは、種というのは、植えて花が咲いて実が実る、というのが年に1回、もしくは南半球を使ったとしても年に2回なので、生産のリードタイムは約1年とか、8ヶ月とか、そういった長い期間が必要なことと、種自体が生き物なので、実際の在庫期間は長くても3年位なのです。
    そういうところなので、営業はどんどん売り上げを伸ばしたいのですが、在庫がないと売れないということもあって、今年売り切って来年の分の在庫がなくなったら困るとかですね、あるいは天候次第で、もう今まさに種を収穫するときに台風がきたら、今年の生産は無くなってしまうことも起こり得るので、在庫とか天気を見ながら営業を行ってきたという経験を持っています。
    一方で、30年ぐらい前の話なのですが、南半球で生産を始めたりとか、海外生産が増えてきたことに伴って、実際に生産するための親の種を輸出するのが私の役割でもあったので、生産部門とも仲良くさせてもらっていました。つまり、生産も、営業も、そして物流の方にも、関与していたのです。
    また、物流会社のコンサル部門にいたときには、繁忙期には、実際に現場を手伝ったりしていました。こういったバックグラウンドがあるということを、ご承知おきいただきたいと思います。

    はじめに ロジスティクスとは

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    ではまず、ロジスティクスの定義です。今、皆さんに説明するのは、ご存知のとおりですが、元々「兵站」を意味する軍事用語です。前線基地に軍事物資とか生活物資、例えば、兵隊とか、武器、弾薬、燃料とか、食料品、飲料水、医薬品とかを計画的に補給するというのが、元々ロジスティクス、「ミリタリー・ロジスティクス(Military Logistics)」といいます。そこにコストの概念をとり入れて、ビジネスでも使えるということで、「ビジネス・ロジスティクス」という概念が形成されました。
    これは皆さんご承知の通りです。ロジスティクスの定義ということで、JILSの用語辞典にも載っていますので、またお時間のある時に目を通しておいてください。私が好きな定義は、この一番下の、「調達から生産物流販売までを、ボーダーレスに最適化すること」、これは、非常に短くてわかりやすくてよいと思っています。
    東芝の佐藤文夫さんという方は、東芝(旧 東京芝浦電気)の社長、会長を歴任された方で、私が在籍していた、日本ロジスティクスシステム協会の会長もされておられました。実は、東芝が日本で一番最初に物流部が出来た会社だそうです。これは私がJILSにいた時に、専務理事から教えてもらったことですが、当時は、「物的流通部」という名称だったそうです。その初代、物的流通部長が佐藤文雄さんなので、おそらく日本で一番最初の物流部長ではないかと思っています。
    ロジスティクスの定義を説明しましたが、元々兵站ということで、湾岸戦争のときの例で、これはこのときのロジスティクスの担当の将軍の著書、「山・動く: 湾岸戦争に学ぶ経営戦略」(W.G. パゴニス,1992/11/1,同文書院インターナショナル)という書籍で、ベストセラーになったので、記憶にある方もいらっしゃるかと思います。

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    湾岸戦争のとき、膨大な物資を送り込んだのですが、そのうち100万t近くが余ってしまったりとか、中に何が入ってるかわからないとか、どこかへいってしまったということがあって、そしてその後のイラク戦争のときに、RFID、ICタグを使ってそういった問題を解決していったということを言われています。

    ロジスティクスとは②

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    それで、こういったビジネスロジスティックスを、図で示すとこのようになります。例えば製造業でいうと、開発部門や調達、生産、物流、販売とか、いろんな部署や場所にまたがるところで、実際に物が動いていくところを青く塗りつぶしていますが、ここを最適化していく、つまりボーダーレスに最適化するいうこと、これについてお話していきたいと思います。では、何をもって最適化と判断するのかというと、私はコストと在庫の部分だと思います。
    コストというのは、単に製造原価とか仕入れ原価を下げるという意味ではなくて、会社全体のコストを下げていくこと、それでそのときに、これは私の経験則なんですが、最も合理的なのが在庫の適正化ではないかと思っています。

    ロジスティクスとは③

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    これを文章で説明すると、このようなスライドになるのですが、単に単価削減をするだけではなく、会社全体のコストを下げていきましょう、ということです。皆さんの会社でも経験があると思いますが、製造原価とか仕入れ原価を削減するために、大量生産、大量発注して、置く場所がないから外部の営業倉庫を借りて物流コスト上がってしまったということありますよね。
    そういった目先の単価を下げるのではなくて、会社全体のコストを下げていこう、それをするために最も合理的な手段が、在庫の適正化ということなのです。在庫の適正化と言うと、欠品もしないし、過剰在庫にもならないで、売り切れ・売れ残りもしないような、数量と配置がキーとなります。
    例えば、関東の物流センターに何割、関西の物流センターに何割の在庫を配置する、こういった、数量と配置の適正化ではないかと思っています。これは多分言葉は違えど、皆さんとの共通認識だと思います。

    1.CLOについて

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    では、ここからCLOに入っていきますが、物流統括管理者ということで、荷主事業者は云々と書いています、赤い字のところ、「物流管理統括者は、物流の適正化、生産性向上に向けた取り組みの責任者として、販売部門、調達部門等の他部門との交渉調整を行う」、このように、昨年度出た資料では説明されています。
    これは、新聞とか業界誌とか、インターネットのニュースで見られているかと思いますが、ここで私の疑問なのですが、CLOとはどこにも書かれていないのです。ただしCLOという言葉がよく使われており、言葉が独り歩きしているという印象があります。
    アメリカとかヨーロッパの、Chief Logistics Officer(CLO)とか Chief Supply Chain Officer (CSCO)の役割は、物流の効率化だけではないのです。
    でも、こちらの赤文字の記載内容を見ると、物流の適正化、生産性向上ということなので、この辺りは、少し違和感を持っています。今日参加されている方は多分、荷主企業の方とか、物流事業者の方とか、それに関連するサービスを提供されている方、少なからず何らかの関係者の方々だと思います。それで、私はどうしたらいいのかとか、うちの会社はどうしたらいいのか、など困っているかと思います。

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    この辺は、少し曖昧になっているという印象を受けています。一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)、の理事長をされている森先生(流通科学大学 名誉教授)が、「CLOの仕事 物流統括管理者は物流部長とどう違うのか」 *1 という本を出版されました。
    【注】*1. 「CLOの仕事 物流統括管理者は物流部長とどう違うのか」,森 隆行 ,同文舘出版,2024年
    最近出たばかりの本なので、ぜひ紹介させていただきたいと思いますが、このフィジカルインターネットセンターでは、CLOの定義として、「持続可能な社会と企業価値の向上を実現するため、物の流れを基軸にしたサプライチェーンにおいて、経営視点で社内外を俯瞰した全体最適を図る役割を担う責任者」ということで、これは私のイメージしているCLOに、とてもフィットしていると思っています。
    物流の適正化とか、生産性向上だけではないのです。サプライチェーンにおいて、経営視点で、物の流れ、全体最適化を図るのです。これは先程の、会社の中の全体最適、調達とか生産、物流、販売のロジスティクスの部分と、仕入れ先、販売先も含めたサプライチェーンの最適化ということを、CLOの役割として説明されています。
    私のイメージするCLOは、こちらに近いですし、多分皆さんがCLOと聞いたときのイメージも、こちらに近いのではないかと思います。
    これは、折角手間をかけて、時間をかけて、コストかけて、CLOを設置するのだったら、ここまで実施した方が絶対に良くないですか、と私は思います。
    折角取り組むのでしたら、物流の適正化とか生産性の向上だけではなくて、自社の全体最適とか、サプライチェーンの全体最適にチャレンジし、それを実現していく、CLOはそういうポジション・役割が望ましいのではないかと考えています。

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    では、具体的にどうしていくのかですが、対象となる特定荷主はというと、これはまだ決まっていないのです。だから皆さんの会社が選ばれるかもしれないし、選ばれないかもしれないのですが、いわゆる大手企業と言われる荷主さんは恐らく入ってくるかと思われます。取り扱うものだとか量(重さ)によっては、いわゆる中堅規模の会社も、入ってくる可能性があるということですが、大企業の荷主さん、中堅規模の荷主さんも、特定荷主に選ばれようが選ばれまいが、CLOを設置された方が絶対に良いと思います。
    選ばれないからやらなくてもよいのではなくて、近い将来、当初の特定荷主3000社位から、広がってきたときに、いずれ取り組まないといけないのだったら、最初からやっておいた方がよいのではないかと考えています。
    CLOの職位、これは言葉が独り歩きしていると言ってましたが、チーフ・ロジスティクス・オフィサーだと、やはり役員クラスが望ましいということです。部門長で部長クラスということであれば、他部門とか取引先との交渉を、部長クラスでできるのかなとか、取締役会とか出席できるのですかとなると、少し疑問なのです。そういったことを考えると、やはり営業部門とか、製造とか、調達部門、あるいは取引先と交渉したりとか、あるいは投資をするための資金を調達するのだったら、役員クラスが望ましいのです。
    では、CLOの目的は、物流の適正化と物流の生産性向上だけでいいのかというと、物流部門だけの努力でできることには、限度があります。もう既に散々取り組んできているのです。例えば、現場改善をして、コスト削減をして、品質の改善をして、もう既にいろいろ取り組んできているので、これから物流部門だけ、あるいは、物流会社だけでできることは限られるのです。そうなってくると、営業部門と納品のリードタイムを調整するとか、取引先と交渉するとか、生産ロットの数量の見直しを図るとか、物流の在庫拠点をどうするのか、こういった話をしていこうとすると、物流部門だけではとても対応しきれないのです。付け加えるなら、商慣習の見直しとか、取引先の交渉とかを、調整していくとなると、これはもう、物流の効率化だけで完結する問題ではないのです。この辺りは、皆さんご理解いただけるのではないかと思います。
    ※中編(次号)へつづく


    (C)2025 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.



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第567号 最適化AIの技術を活用したシフト表の自動作成 ~「勤務シフト作成お助けマン」の導入で実現した改善事例のご紹介~(後編)(2025年11月6日発行) /logistics-567/ /logistics-567/#respond Thu, 06 Nov 2025 00:00:00 +0000 /?p=21161 執筆者 新井 祐一 氏 鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長  執筆者略歴 ▼ 略歴 2015年より勤務計画ソリューションの 企画・マーケティング・営業を担当 中小企業診断士(2008年登 […]

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執筆者 新井 祐一 氏
鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長

 執筆者略歴 ▼
    略歴
    • 2015年より勤務計画ソリューションの 企画・マーケティング・営業を担当
    • 中小企業診断士(2008年登録)

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長 新井 祐一 様の講演内容を2回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
*前号(2025年10月21日発行 第566号)より

目次

  • ご利用企業様
  • 8.物流業界での活用事例①
  • 9.お助けマン サービスラインナップ
  • 10.お助けマンの機能
  • 11.お助けマンの特長
  • 12.デモンストレーション
  • 13.無料トライアルについて
  • 14.サポートについて
  • ありがとうございました
  • (以上後編)

  • 本論文は、前編、後編の計2回に分けて掲載いたします。
  • ご利用企業様

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    このサービスは業種業態を問わず、いろいろなところでお使いいただいていて、現在350社以上でご利用いただいています。この中には、病院があったり、物流会社さんや工場があったり、パチンコ屋さんとか、小売業とか、パン屋さん、飲食店があったりと本当に多種多様ですが、これほどいろいろな会社さんがシフト作成に困っていて、弊社のサービスがこれらの課題に柔軟に対応可能なソリューションを提供しています。

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    物流でいうと、合同会社KITSラインさんという企業がありまして、こちらは佐賀県吉野ヶ里町にある物流会社さんですが、食品、生鮮食品の輸送事業を行っていて、外食チェーン店や量販店へ輸送を行っている会社になります。
    こちらの会社は、佐賀県のDXフラッグシップモデル事業の採択事業者(https://editors-saga.jp/editors/sagadx/20220112_1295.html)として選ばれて、そのモデル事業の一つで、倉庫システムの刷新とかデジタルデバイスを活用したピッキング効率化、さらに、そのシフト管理に関わる従業員の工数削減に取り組んだ事例となっています。

    8.物流業界での活用事例①

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    こちらは、物流業界での活用事例を記載しています。
    まず食料品倉庫のA社様ですが、複数倉庫拠点の勤務シフトを一元的に管理したい、というニーズがあり、3拠点で計約160名の方が働いていますが、その方々のシフトを勤務条件を考慮し作成したものです。各倉庫ごとの担当業務エリアの入力が必要な点が非常に煩雑でしたが、どこのエリアを担当するのか、このシステムを使用して自動的に答えを出せるようになりました。
    これによってシフト作成の省力化ができ、標準化が実現できました。このシステムは、いろいろな勤務条件を設定することができます。例えば、「連続勤務は最大何日までです」、といった条件があったり、「飛び石連休じゃ駄目です、休み→勤務→休みは回避してほしい」、というようなスタッフの声が多くあり、そういったことにもきちんと対応したり、勤務間インターバルを考慮した設定をしたりとか、「休日の前後で、休日の前の日は早く帰って、休日の次の日はちょっと遅く来たい」、これは、法律とは違うところで、働きやすさも考えないといけないので、そういったところもきちんと考慮した上でシフトを作っていく、当然必要な人数があるのでそこも考慮する、こういったような事例で活用いただいています。

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    次は化学製品倉庫B社様の導入事例です。こちらは4拠点合計で約170名の方が働いています。定められたシフトパターンというのは、90種類ぐらいあり、これは手作業による設定では限界がある状況です。なぜこれだけ増えたのかというと、やはり多様な働き方を認めたりとか、人手不足の状況で他社の労働条件と比べて有利にならないと人が集まらないとか、そういったこともあり、シフトパターンが増えていった結果、90種類位に膨れ上がっていました。それですごく困っていたところで、この90種類のシフトパターンを自動で誰にどのシフトを割り当てるかということを、このシステムを使って自動で作成できるようになったというものです。今回、スタッフが満足するような公平なシフト作成をすごく気にされていて、これらの条件を反映した上で、実際に公平性を重視した最適なシフト作成が実現された事例となっています。

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    こちらは食料品倉庫C社様の導入事例です。パート・アルバイトの方々が中心で、6時から22時までの16時間の運営時間に対して、それを交代で担当しています。決まったシフトパターンがないので、早番遅番とかではなくて、あなたは何時から何時まで来てください、あなたは次は何時から何時まで、そういったような指示の仕方をしています。
    スマホを利用して、当然希望する勤務時間を申請できます。アルバイトの方なので毎日来ない方もいらして、その方はスマホをきちんと使っていただければ、そこで勤務時間の希望も出せますし、確定した勤務時間を見ることができる、こういったような事例となっています。
    この会社もDXの推進の観点から、シフト管理に取り組んで業務効率化を実現した事例です。ここのところは、設定している主な勤務条件です。スタッフの休憩時間を割り当てたいという希望だったので、そういった休憩のルールを設定したり、勤務時間そのものを割り当てるシフトを自動作成できるという仕組みを実現しました。

    9.お助けマン サービスラインナップ

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    勤務シフト作成お助けマンには、2つのサービスラインナップがあり、「勤務シフト作成お助けマンDay」と、「勤務シフト作成お助けマンTime」があります。
    主にフルタイム従業員が中心のお客様、例えば、早番、遅番、夜勤A・B・Cなど任意のシフトを、1日の中でスタッフの希望を割り当ててシフトを作っているお客様だと、左側の「お助けマンDay」というサービスが対応していて、こちらは先ほどお話した10年以上前から提供しているサービスになります。
    このサーピスを販売している中で、パート・アルバイトのスタッフが多いお客様もいて、そういったお客様だと、早番や遅番のシフトではなくて、先ほどの事例の通り、「何時から何時まで来てください」、という具体的な勤務時間でシフトを割り当てたいというニーズがあることがわかり、その結果2020年から、「お助けマンTime」というサービスの提供を開始しています。

    10.お助けマンの機能

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    先ほどお話したとおり、スマートフォンから、勤務の休みの希望を登録することができますし、確定したシフト表を確認することもできます。よくお伺いするのは、勤務の希望を聞いた際に、間違って登録し公開してしまった、というお話を聞きますが、そのようなミスもなくなりますし、あとはスタッフの方が(掲示されているシフト表を)毎回見に行く必要もなく、どこでもスマートフォンで閲覧できるようになっています。

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    最大の特徴は、このいろいろな勤務条件を登録できるというところになります。先ほど事例でお話した部分もありますが、それ以外にも、10年ぐらいサービスを提供しているなかで、いろんなお客様から、「こういう条件を入れられないか」、というような要望を徐々に取り入れてバージョンアップをしています。
    今では、シフト希望の割り当てを行うシフト表に、さまざまな条件を登録できます。例えば、人の組み合わせという条件があり、誰と誰を一緒に組ませる・組ませないといった条件が登録できたり、当然スキルも重要な要素であり、単に人数が揃えばよいというだけではなく、その中でこういったスキルを持つ人が何人必要といった条件も登録できます。これにより、部署別スタッフ別に細かい条件を設定できる仕組みになっています。

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    こちらは、「お助けマンDay」のこういったようなシフト表が出来上がりますという例です。右の方に勤務の回数とか、下の方には人数の条件が入っています。

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    こちらは、「お助けマンTime」の画面ですが、時間そのものを割り当てるので、この画面の通り、スタッフ毎に何時から何時まで指定するというようなシフト表が作成されます。

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    ここでご紹介するのは、スタッフ毎のタイムスケジュールを出す機能です。例えば、ポジションごとに作業を割り当てるような場合、何時から何時まではこの持ち場とか、エリアといった条件を細かく設定できるようになっています。

    11.お助けマンの特長

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    我々のこのシステムの特徴は自動作成というところにあります。
    勤務条件がいろいろあり、矛盾するような条件も当然あると思います。例えば、休みはこれだけ取らないといけない、でも人がいない、ではどうするの、という時に、このシステムは、各条件に対して条件強度を設定でき、この条件の優先度を高くするとかの条件設定ができるため、その中から最も最適なシフト割り当てを算出することができて、最終的に必ず答えが提示されるようになっています。
    その上で、この条件はどうしても満たせませんというような形の答えはあります。つまり答えは出た上で、どうしても人が足りない、休みの希望が多すぎて実現できないとか、こういったような答えは出てきます。いろんな勤務シフトを自動作成できるシステムがありますが、条件が矛盾する場合は答えが出ないケースもありますが、弊社のシステムは、たとえ矛盾があった場合でも、最終的には必ずシフトの解答を提示できる仕組みとなっています。

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    当システムはクラウドサービスですので、インターネット接続さえあれば、すぐにお使いいただけます。また、システムサポートは、同じ画面を見ながら対応できるため、迅速で的確なサポートが可能となっています。

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    JRグループという、信頼あるブランドを背景に、セキュリティに関しては安全性の高いクラウドサービスを提供しており、安心してご利用いただける体制が整っています。

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    このシステムはシフト作成に特化しているため、他のシステムと連携しているケースが一般的です。そのため作成したシフト表をCSVのデータで、勤務計画データとして出力することができます。
    そのデータを勤怠管理システムで取り込んでいただいて、勤怠管理システムで勤務実績、残業や欠勤を把握したりすることができます。さらに、人事情報、スタッフの情報を取り込んで、勤務シフトを自動作成できる仕組みとなっています。

    12.デモンストレーション

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    以降のデモンストレーションのご紹介については、以下Youtubeチャンネルを参照ください。
    ■シフト表を自動作成できるシフト管理サービス「勤務シフト作成お助けマン」のご紹介|テレビ番組「ええじゃない課Biz」出演:アンタッチャブル柴田、アルコ&ピース
    (Youtube動画リンク)https://www.youtube.com/watch?v=7gIom7BoQtw

    ■勤務シフト作成お助けマン 公式チャンネル【JRシステム】
    (Youtube動画リンク)https://www.youtube.com/@%E5%8B%A4%E5%8B%99%E3%82%B7%E3%83%95%E3%83%88%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%8A%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%85%AC

    13.無料トライアルについて

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    このサービスでは、無料トライアルをご利用いただけます。多様な現場があり、複雑な条件があって、シフト表自動作成といっても、本当に今の現場に適用できるのかどうか、実際の環境でお試しいただけるよう、2ヶ月間の無料トライアルをご用意していますので、安心してお試しいただけます。
    また実際に操作していただく際に、他のよくあるシステムでは、単純にデータ登録すれば利用できるものもありますが、(弊社のシステムでは)そんなに難しくはないのですが、条件を登録しなくてはいけないなど、プログラム的な要素も一部含まれます。そこで弊社では、その辺りの操作フォローに関しては、こちらの資料にありますように、無料トライアル中から本利用以降も、お客様には様々な方法で手厚くサポートを行っています。

    14.サポートについて

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    最近よくあるサービスでは、チャットしか受け付けできません、というサービスも多いですが、弊社では、お電話での受付や、Web会議を使って操作支援したりとか、多様なチャネルによる手厚いサポート体制を整備しています。
    料金については、ご案内資料の料金表(料金表リンク先:https://www.otasukeman.jp/price)を参照ください。この自動作成機能は、低価格でコストパフォーマンスに優れています。 効果を実感いただくため、ぜひ無料トライアルでお試しいただければと思います。

    ありがとうございました

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    ではお時間になりましたので、私からの講演を終了させていただきます。ご相談等がありましたら、お気軽にお声がけいただければと思います。本日は長時間にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。



    (C)2025 Yuichi Arai & Sakata Warehouse, Inc.


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第566号 最適化AIの技術を活用したシフト表の自動作成 ~「勤務シフト作成お助けマン」の導入で実現した改善事例のご紹介~(前編)(2025年10月21日発行) /logistics-566/ /logistics-566/#respond Tue, 21 Oct 2025 00:00:00 +0000 /?p=21147 執筆者 新井 祐一 氏 鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長  執筆者略歴 ▼ 略歴 2015年より勤務計画ソリューションの 企画・マーケティング・営業を担当 中小企業診断士(2008年登 […]

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執筆者 新井 祐一 氏
鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長

 執筆者略歴 ▼
    略歴
    • 2015年より勤務計画ソリューションの 企画・マーケティング・営業を担当
    • 中小企業診断士(2008年登録)

*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、鉄道情報システム株式会社 営業推進本部 営業開発課 副課長 新井 祐一 様の講演内容を2回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。

目次

  • 勤務シフト作成お助けマン
  • 会社紹介
  • Agenda
  • 1.物流の2024年問題とは
  • 2.働き方改革関連法とは
  • 3.人手不足の問題
  • 4.シフト管理におけるよくある問題
  • 5.勤務シフト作成お助けマンとは
  • 6.お助けマン利用企業の業種・業態
  • (以上前編)

  • 本論文は、前編、後編の計2回に分けて掲載いたします。
  • 勤務シフト作成お助けマン

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    JRシステムの新井と申します、よろしくお願いいたします。我々のサービスとしては、勤務シフト表の自動作成というサービスがありますので、本日はサービス内容について、改善事例を含めてご案内できればと思います。

    会社紹介

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    先ほどご紹介いただきました通り、私は2015年から勤務計画ソリューションの企画、マーケティング、営業を担当しております。弊社の概要について紹介させていただきます。正式名称は鉄道情報システム株式会社、略称JRシステムと申しまして、設立が1986年12月9日ということで、国鉄が分割民営化された時(1987年4月1日)の、少し前に設立した会社となります。
    元国鉄のシステム部門が独立してできたという経緯がありますので、各旅客鉄道会社が株主という形になっております。
    弊社の一番のコアな事業として、JRの「みどりの窓口」の座席予約のシステム(旅客販売総合システム「MARS」, https://www.jrs.co.jp/guideline/mars/)があり、こちらのシステムの開発・運用に取り組んでいます。現在その他に、JR以外のお客様に対して提供可能なサービスとして、いくつかこちらの資料の右側に記載させていただいております。
    例えば、行楽・観光情報データの提供サービスでは、「季節情報提供サービス」(https://www.jrs.co.jp/service/product/season/)だったり、「らく通」(https://www.jrs.co.jp/service/product/rakutsu/)というのは、ホテルのサイトコントローラーといいますが、旅行会社・予約サイトの予約情報や在庫・料金調整を一元的に管理するシステムです。あとは、データセンターサービス(https://www.jrs.co.jp/service/product/data_center/)です、自社でデータセンターの拠点を保有しており、データセンター事業を提供しています。
    それ以外にもセキュリティや金融関連のサービスであったり、あとはJR貨物さんのコンテナの管理を長年行っており、そういったところから物流企業向けに、配送ルート計画ソリューション(https://www.jrs.co.jp/service/product/plan_root/)を提供しています。
    本日ご紹介する「勤務シフト作成お助けマン」((公式サイト)https://www.otasukeman.jp/)のお話になりますが、これが使う技術自体は、いろんな問題を解くことができるものになります。
    この後少しご紹介しますが、勤務シフトを自動で作っていて、この技術を使うと、例えば配送ルートを最適化するような計算ができたり、また、プロジェクトがあって、人をアサインしないといけないとか、マッチングするとか、そういったところへもこの技術を使うことで、自動化して答えを出すことが可能であり、そういった技術を使って(勤務シフト作成の)サービスを提供しています。

    Agenda

    *画像をClickすると拡大画像が見られます。

    アジェンダとしてこちらに記載しています。最初に少しお話した部分もありますが、物流2024年問題とか、人手不足のお話、シフト管理に関する問題とか、そういったところで、「勤務シフト作成お助けマン」がどのようなところで使われていて、どういった改善ができたのか、そういったお話をさせていただき、最後に、(お助けマンの)デモンストレーションをできればと思っています。実際のデモを見ていただくと、機能や操作性を直感的にご理解いただけます。ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。

    1.物流の2024年問題とは

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    この部分は、働き方改革関連法によってドライバーの時間外労働時間の上限が設定されることが2024年問題として取り上げられていますが、それによってドライバーの1日の運転時間が短くなり、1人当たりの走行距離が減少するため、物が運べなくなるのではないか、そういった点が課題として指摘されています。

    2.働き方改革関連法とは

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    ここでは、法整備の理由を引用していますが、時間外労働の限度時間の設定というのが、物流の2024年問題に関連した、「働き方改革関連法」の主な施策になりますが、物流以外の業種でも当然、この法律が適用されて、高度な専門的知識を必要とする業務に就いて、一定額以上の年収を有する労働者に適用される労働時間制度(「高度プロフェッショナル制度」)の創設というのがあります。あとは短時間・有期雇用労働者や派遣労働者と、通常の労働者との不合理な待遇の相違を禁止する、こういったようなことが盛り込まれています。
    一番私が大事だと思っているのが、多様な働き方というところになります。当然法律としては、時間外労働の規制とかがあると思いますが、流れとしては、多様な働き方を選択できるということが今後さらに推進され、この部分の流れというのは基本的に変わらないだろうと考えています。

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    働き方改革関連法の施工スケジュールは、こちらに記載している通りです。自動車運転業務、建設業務、医師については2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されました。それ以外に、勤務間インターバル制度とか、年次有給休暇の取得とか、こういったことも追加されています。
    実際に我々のこのサービスについては、物流企業のお客様からのお問い合わせが増えている部分もありますし、医師の働き方改革ということで、医療機関からの引き合いも増えています。

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    時間外労働の上限規制は、自動車運転業務を除いて、一般的に年間720時間以内に設定されています。
    自動車運転業務に限っては、年960時間の上限が設定されており、現時点ではまだ優遇はされてる部分もありますが、今後の流れとしてこの部分がもっと厳しくなると考えています。

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    あとは物流分野とは若干異なる領域になりますが、勤務間インターバル制度の導入促進というのが、勤務シフト管理においては、非常に重要なポイントとなっています。これは努力義務として規定されていて、終業時間から次の始業時刻までの間に、一定時間以上の休憩時間を確保する仕組みの導入を求められています。こういう要素が加わると、シフト作成担当者にとっては、非常に多くのことを考えないといけないという点が一つあります。
    二つ目は年次有給休暇の確実な取得という点で、これは全ての企業において、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対しては、年5日以上の休暇を取得させることが義務付けられています。
    そのため、勤務シフトを作成する上では、年間5日の休暇が確実に取得できるかどうかを確認しながら、シフトを作成する必要があり、同時に、勤務に関して適切な指示をする必要があるため、管理上の負担を大きくしている要因となっています。

    3.人手不足の問題

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    次に、シフト表を作る上で難しくさせているのは、人手不足という状況で、当然人が潤沢にいればそこまで悩むことはないのですが、(人手が)少ない中で何とか(シフトを)作らないといけない、というところがあるかと思います。
    今、この人手不足による経営ダメージが深刻になっているというようなデータが出ています。帝国データバンクが出してる2024年度上半期のレポートでは、163件が人手不足倒産と呼ばれる理由で、倒産に至ったと報告されています。上半期だけで、倒産件数が確実に昨年度を超えるだろうと予測されていて、これは従業員の離職であったり採用難で人手が確保できなかったりというのが、主な要因として考えられています。

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    このレポートには、業種別の人手不足倒産件数が出ており、特に建設業・物流業が全体の45.4%をしめていて、非常に集中している報告となっています。従業員数別で見ると、従業員が少ない10人未満の小規模事業者が全体の82.2%をしめており、非常に多くなっています。これはコロナ渦明け後の経済回復、時間外労働の上限規制、これらのダブルパンチで、こういった倒産が多くなったのではないかと言われています。

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    あとは、2025年問題というのがあります。この先もずっといろんな問題があるかと思いますが、我々のシフト管理をする上でも、キーワード(課題)になっていて、ベビーブームに生まれた多くの人、いわゆる団塊の世代の人ですね、それらの方々が2025年から75歳以上の後期高齢者になりますので、人口における高齢者の割合が増加し、様々な問題が出るのではないかと言われています。シフト管理に関係する課題といえば、慢性的な人手不足、今も人手不足なのですが、これがずっと続くということが言われていて、そういったところが一つ問題としてあると考えています。
    あとキーワードとしては、「ビジネスケアラー」への対応というのがよく出てきます。つまり、仕事をしながら家族の介護に従事する社員が増加するということです。今後は、こういった方々への対応も必要になってくると考えています。

    4.シフト管理におけるよくある問題

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    こちらに、「シフト管理におけるよくある問題」を記載しています。シフト管理をする上で一番の問題は、一番目に記載している、作成の負担が非常に大きいということです。(シフト作成に)すごく時間がかかってしまうことで、重要度の高い管理業務に十分な時間がかけられない、そういった話をよく伺います。当然そのシフト表を作る人は管理する方なので、シフト表の一番上に出てくるような人が一生懸命作っていて、その管理者の方にどうしても負担がかかってしまいます。つまり、単価が高い人が(シフト表作成のために)、非常にコストがかかっているという業務になります。
    その作ったものが、すごくよいものだったらいいのですが、人によって上手い下手があったりして、なかなかよい結果が出ない、例えば、人件費、残業が減らないとか、そういったところも含めて、問題になっているということが一番目にあります。
    2番目の問題は、シフト表作成が属人化しているという点です。
    特定の担当者じゃないとシフト表の作成ができないとか、新しく担当者になった人に急に作ってと言われても、なかなかうまく作れない、そういったこともあるかと思います。あとは、勤務シフトを作成する担当者が違うと、働き方自体も変わってしまう、業務運営も変わってしまう、そういったようなところにも繋がってくると考えています。このため、前の人はOKでも次の人が作成すると駄目だとか、そういったケースもあります。
    3番目の問題は、シフト表が原因で従業員満足度が低いという点です。
    シフト表自体が働いている方々にとっては、すごく関心が高いのです。毎月、来月どういう働き方をするのか、きちんと休みを取れたかなど、すごく関心が高くて、そこの部分で、例えば、不公平感を持ってしまうと、すごくやる気を下げてしまったりとか、そういったことにも繋がるのです。シフト表を作る人も、公平なものを作りたいとは思っていますが、先ほどの法律(働き方改革関連法)であったりとか、人が足りないとか、そういった点を考慮すると、条件が複雑になり、もう人の手だけではなかなか(対応が)難しい、そういったケースもあります。
    法律の知識がきちんとあって、従業員の希望もできるだけ叶えてあげたいという思いがあっても、やはり手作業でシフト表を作成するのは、限界があるというのが、物流業界だけではなくて、いろんな業界で、すごく皆さんが問題に感じている点であると考えています。

    5.勤務シフト作成お助けマンとは

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    弊社がご提案している、「勤務シフト作成お助けマン」というサービスですが、こちらは最適化AIという技術を使ってシフト表を自動作成する、クラウドサービスになります。スタッフの希望、各種勤務条件を反映させることはもちろん、それ以外に、法令遵守だけではなくて、働きやすさとか、公平性、そのあたりを考慮した上で、シフト表を作成することができるサービスになります。
    様々な業種業態にも対応していて、低価格でご提供している、そういったサービスになります。通常のシフト作成システムと何が違うのかという点ですが、おそらくほとんどの現場では、エクセルで作られているといったケースが圧倒的に多いかと思います。

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    これは業界を問わず、いろんな業界でも大手のお客様でも、やはり現場ではエクセルでシフト表を作っていますというのが、今のところ圧倒的に多いです。これを解決するためのサービスというのが今いくつか出てきていますが、大体はシフト作成のアシストツールと呼ばれるようなものです。
    例えば、スタッフの方が、働いてる方からスマホでシフトの希望を集めて、シフト表を組むのは、手作業で組まなくてはいけなくて、その組んだ結果を共有できます、というようなものです。このエクセルをWebシステムに置き換えたツールというのは、大体アシストツールと呼ばれるもので、よくあるシフト管理システムであったり、勤怠管理システムのシフト作成機能というのは、この部類に入ると考えています。
    ただ我々は、それだけだとこのシフト表を組む作業という部分に関しては、あまり工数を削減できないだろうと考えており、この部分の条件を入れることで自動生成され、最適なシフト表が出来上がるパズルみたいな作業はこのシステムが考えてくれるというサービスが、弊社の「勤務シフト作成お助けマン」になります。

    6.お助けマン利用企業の業種・業態

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    こちらは、現在いろんな業種業態のお客様に、弊社の「勤務シフト作成お助けマン」をお使いいただいています。この事業を始めたのが、10年ちょっとぐらい前で、元々は我々はJRグループですので、駅の清掃要員の方々のシフト作成というのを、一番最初に取り組んできました。
    そういった勤務シフト作成というサービスは、当然JRグループ以外にも使えるだろう、いろんなところで困っているだろう、ということで、このサービスを事業化したものです。当初は、病院だとか、介護施設というのが一番わかりやすく、看護師さんだとかが一番困っているだろうと考えて、サービスインしたのですが、サービスを開始してみると、更にいろいろなところからお問い合わせを頂いて、業種業態を問わずいろいろな企業のシフト表作成の問題を解決できるサービスということで、今ご案内しているところです。
    勤務時間が非常に長くなれば、必ず業務を分担しないといけないので、勤務シフトというのが発生し、そういった現場であれば、シフト表作成が必要になるのです。物流現場でも土日関係なく動いているところは当然対象になりますし、小売り業でもすごく営業時間が長ければ当然シフトが発生する、そういったようなことがあり、いろんな業種でシフト作成が課題になっていると考えています。
    ※後編(次号)へつづく


    (C)2025 Yuichi Arai & Sakata Warehouse, Inc.


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第559号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(後編) (2025年7月10日発行) /logistics-559/ /logistics-559/#respond Thu, 10 Jul 2025 00:00:00 +0000 /?p=20854 執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究 […]

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執筆者  橋本 雅隆 氏
明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)
明治大学BCP・SCM研究所代表

 執筆者略歴 ▼
略歴
  • 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業
  • 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了
  • 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る

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*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
前号(2025年6月17日発行 第558号)より
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

目次

  
フィジカルインターネットを実現していくために、「製・配・販連携協議会」で、「商流・物流におけるコード体系の共通化」、「物流資材の標準化」、「商取引慣行の見直し」、「物流・商流データの共有・連携のルールづくり」、の4つの重要項目に分類しました。プロジェクトの中では、主要なメーカー、卸、小売の、経営者がコミットして、この大枠の方向性を2024年3月に出しています。

さて、CLO(物流統括管理者)が何をやらないといけないかについては、特定荷主は、CLOの設置が法律で義務化されますので、その方は、これから説明する責任と役割を果たす必要があり、かなり大変な業務となります。

物流効率化法における物流統括管理者

 
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この物流効率化法第47条にありますように、特定事業者に物流統括管理者を置きなさい、中長期計画と改善の報告を出しなさい、さらに、「特定荷主が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的な地位にあるものを持って充てなければならない」、という言い方をしています。これは、実質的には役員クラス、取締役とか、経営会議に出て発言できる人、そういう人を専任しないと投資判断ができないということです。

物流効率化法の義務を遂行するCLOの責任とは

 
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それでは、CLOの責任とは、何をしなければいけないかというと、この法律は、まず「持続可能な社会をつくる」ということが、前提としてあるのです。それからもう一つは、「企業が価値を生み出し向上させる」ということです。この二つについて、社内外を俯瞰した全体最適を図りましょうということなのです。そのときには、サプライチェーンだけではなくて、ライフサイクル・サポート・ロジスティクス、BCPまで含めて、根本的な考え方をとりまとめて作成しないといけないのです。
「統合報告書」(企業の財務情報と非財務情報を統合した報告書)は、主要企業が出していますが、この中に持続可能な社会、つまり、社会的な資源をインプットして、価値を見出しているわけですから、その企業価値向上は、ROIC(投下資本利益率)を上げなさい、投資利益率を上げなさいということと、もう一つは、持続可能な社会に貢献してくださいという枠組みなので、これに対して責任を持つということなのです。
振り返って、日本の生産性はどうかというと、90年代の半ばから、下がり続けています。1人当たりのGDPは、一番良いときは世界5位ぐらいだったものが、今26位まで落ちています。それから、日米欧のROIC(投下資本利益率)を見ても、日本はアメリカの半分位しかでていないという状況なのです。

CLOの本来的な責任範囲

 
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CLOの本来的な責任範囲は、①企業全体のオペレーションの統合的調整、②経営層・スタッフ層と現場を結びつける仕事、それから、③お客様とサプライヤーさんとの調整であり、これらに責任を持たないといけないのです。

CLOが直面する3つの分断と二つの連携

 
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CLOになると、私は三つの分断、三つの壁に直面すると考えています。
一つは、社内の営業、工場・生産、資材調達、物流、それから製品開発、ここは縦割り組織になっていることです。それぞれ部長がいても、横の連携が不足していることは珍しくない。そこを繋げて全体調整を行って、ROIC(投下資本利益率)を上げるような、オペレーション改革をするというのが、第一番目に必要なことなのです。
サプライヤーとお取引先との調整については、先ほど言ったように、「今日発注して、明日持ってきなさい」という顧客ばかりだと、物流効率が上がらないので、「納品のリードタイムをN+2日にしてください」といった交渉までやらないといけないのです。
それからもう一つ、私が今懸念してることは、こういう経営管理層と現場の壁です。「物流などの日々の現場の実態などは把握していません」という経営層の方が、結構いらっしゃいます。そこを繋ぐ、経営層・スタッフ層と現場、この三つを繋ぐのが、CLOの役割だと考えています。
では、何をやるのかというと、これについてはガイドライン(「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」)や、それから省令・政令でも定められていますが、そこだけでは足りないのです。私は、参考になるのは実は、欧米のECR(Efficient Consumer Response) という、効率的な流通を進めるにあたり、GCI(Global Commerce Initiative) という団体があって、そこが作っている、「ECRスコアカード」 だと考えています。
その中で、例えばこういう効率化をするための実行条件として、電子メッセージの標準化だとか、日本では、ようやくSIP(戦略的イノベーション創造プログラム) で議論されましたが、そういったことが世界では既に進んでいるのです。それが、日本では進んでいないから、ROIC(投下資本利益率)がアメリカの半分程度しかないのです。こういうことが、SIP「スマート物流サービス」で挙げられていた、共同情報とか、商品の荷役技術、輸送の最適化、効率的なユニットロード、信頼性のある物流など、今議論してるようなことが、海外では約25年前から、議論されているのです。
これを実施するためには、商品のGTINコードだとか、パレットのSSCC(出荷梱包シリアル番号)、事業所のGLN(Global Location Number)コード *1 とかの標準化が必要なのです。海外では既に運用されていますが、今日本でも、先ほどお話した「製・配・販連携協議会」(https://www.gs1jp.org/forum/) *2 で、加工食品業界と日雑業界での方向付けが、ようやくできたという段階です。
(注釈)
*1.GLN(企業・事業所識別コード): 国内および国際的な企業間取引において、組織や場所を世界的に唯一に識別できるGS1識別コード
(出所)https://www.gs1jp.org/standard/identify/gln/
*2.「製・配・販連携協議会」の公開資料(https://www.gs1jp.org/forum/guide.html)

「メーカーのロジスティクスとSCMの統合」を進めていく上で、メーカーの「ロジスティックス・ネットワーク」、すなわち、その拠点と輸送のネットワークと、社内の製造工場のオペレーションプロセスなどの改革を関連付けて行うことが必要です。それらは、「顧客と製品(品揃え)の設計」とつながっており、これらを関連付けて、きちんと連携した仕組み作りをやらないと、人材(ヒト)・設備(モノ)・資金(カネ)といった経営資源の活用効率(回転率)は上がらないということなのです。
例えば、SKUの改廃をきちんと実施しているのかとか、きちんと社内のルールとして、オペレーションプロセスを共通化してるのかというと、できていない会社も多いのです。そうするとCLOの役割というのは、会社もミッション(使命や存在意義)、ビジョン(中長期的な目標)がありますし、先ほどお話したBCPプログラムとの関係も考えながら、経営システムの全般に責任を持つことなのです。物流は数量で議論しますが、経営層はお金で議論しますので、そこを繋げるのが、S&OP(Sales and Operations Planning)*3 であり、これは、世界のグローバル企業が使っている経営手法なのです。
(注釈)
*3.S&OP(Sales and Operations Planning): 経営や製造、販売をはじめとした業務部門全体が、社内の情報を可視化・共有できる環境を整えて、意思決定を速めることで、サプライチェーンを最適化する経営手法
(出所)https://products.sint.co.jp/asprova/blog/sales-and-operations-planning

フィジカルインターネット実現に向けた重要項目の抽出

 
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それから先ほど言った、現場とのコミュニケーションだとか、お客様、取引先様との連携プロジェクトを進めるとか、こういったことを進めるのがCLOの役割となります。これを実施するためには、この肌色で色付けしたところを見直しながら、荷主の事業全体の、オペレーション改革と併せて取り組んでいく必要があるのです。

物流総合効率化法のKPIの実行条件の例

 
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そこを集約すると、こちらにあるように、「物流総合効率化法」では、この「達成条件」(物流KPI)として、荷待ち時間、荷役時間、積載率があり、これを達成するために、ガイドラインに記載されている、バース予約システム、ASN検品の導入や、納品リードタイム長期化、発注の平準化、というような「実行条件」があります。さらに「実行可能条件」として、それを実施するためには、製品マスターの整備とか、事業所コードの整備について、実施しないといけない。さらに、それらを企業のオペレーションの再設計という形で実施する場合の「統合条件」として、ROIC(投下資本利益率)目標の達成に責任を持つことや、S&OPの実施、契約条件の見直し、SKUの改廃基準の設定だとか、商取引慣行の見直しなどに取り組まないといけない、ここまでがCLOの役割になってくると考えています。
これらを実行するための、CLOの選任条件といいますか、実行していただきたい人の条件、どんな人がなればいいのかというと、私は5つあると考えます。

業務プロセス改革担当者の条件

 

業務プロセス改革担当者の条件①

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まず、これは「メタ認知能力」と言いますが、俯瞰的にものが見えることです。うちの部門の営業の仕事しかわかりませんとか、工場のライン管理のことしかわかりませんというのでは、この「オペレーション改革」ができないので、他部門の仕事との関連もわかるし、顧客の業務内容とその課題もわかるし、サプライヤーの状況もわかる、というような思考能力のある人といいますか、俯瞰的にものが見えて、さまざまな関係者の立場になって複眼的に想像し、それらの機能関係を把握する能力が必要となります。

 

業務プロセス改革担当者の条件②

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それから、「コミュニケーション能力」というのは、例えばサプライヤーさんが何で困っているのか、物流事業者さんが何で困っているのか、という意図・意味情報と諸課題をお互いに共有して、協力関係を築いてこのように改善しましょう、という仮説提案を繰り返して、信頼関係を結べる人というのが必要だと考えています。

 

業務プロセス改革担当者の条件③

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3番目は、「論理的な思考能力」。現象だけではなく、例えばなぜ、こんなに積載率が悪いのか、そこには取引条件の問題があったり、そもそもの作り方の問題があったりということがあると、そういった因果関係をきちんと突き詰めて、根本原因に対処できる解決策を提供できるということです。

 

業務プロセス改革担当者の条件④

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それから4番目は、「現場での実現化能力」です。理屈だけではなくて、現場というのは理屈通りにいかないものであり、これは何かというと、システム化をするときに大事なことは、「システムがやらないことを決めること」なのです。先ほどお話した、ロボットとか、自動倉庫だとか、何でもできますというと、システム費用が、とてつもなく高くなるのです。これとこれは(システム化を)しないということを決めて、そういった、ロボットが動けるような(改善・整理した)オペレーションに変えてから、導入することが必要なのです。

 

業務プロセス改革担当者の条件⑤

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最後に5番目は、「善き目的を提示する能力」です。私はこれによって、「ロジスティックスの価値が生まれる」、と考えているのですが、最近は、「善き目的を提示する能力」というのは、取引先とか、サプライヤー、物流事業者が、心の底から、これをやると「主体的に参画する動機」となり、お互いにいいよねという、「未来に向けた利他 * 4 」ということでよく言われます。
(注釈)
*4.利他: 自分を犠牲にして、他人のために尽くすこと

価値共創プロセスの拡張的発展

 
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こういったものを提示する能力というのは、私は非常に重要だと考えていて、これを実施することにより、価値のレベルがどんどん上がっていくのです。私がなぜこう考えたのかというと、こういった研究を始めてから既に40年近くになります。これまで、私は経営革新をされてこられた諸先輩方に、いろんなことを教えていただきました。
そうすると、そういった人達の共通点をまとめると、こういう形になるのです。そういう人材がどんどん出てくると、どういうことが実現可能になるかというと、例えばAppleの社長、ティム・クック(Tim Cook)氏は、もう10数年もの間、社長をされていますが、この人はMacの流通在庫を、2ヶ月分から2日分に減らし、在庫の正確なコントロールを行いました。サプライチェーンの専門家なのです。こういう人が社長になっているのです。
それから、ウォールマートの第3代目の社長、リー・スコット(Lee Scott)氏も、ロジスティック担当上級副社長に就任し、マーチャンダイジングをして、店頭在庫の適正化を行った人が社長をされています。
つまり、「CLOになった人が次の社長になる」という考えで、CLOを務めないといけないのです。
最後に、海外の企業はサプライチェーン改革をどのように取り組んでいるのかについて、これはロレアル(L’Oreal)の例ですが、今右肩上がりで業績が上がっています。
どういったことに取り組んでいるのかというと、2021年の決算資料では、「オンラインとオフラインの流通チャネルを活用したオムニチャネル戦略によるアプローチの構成」と説明しています。これはつまり、市場の変化を素早くデータとして集めるようなプロセス改革を行っています。こうしたデータを活用して「顧客中心のサプライチェーン」と「市場駆動のネットワーク」を構築している。このサプライチェーンは、すべてDXを前提にして構築されているのです。
何を言っているのかというと、日本では、「物流」がすごく狭い範囲で、現場の仕事はコスト削減の対象としか見られない。海外では、マーケティングの半分がロジスティックスだ(Logistics is the other half of marketing)と言ってるのです。ということは、ロレアルでは、DXを実施して、マーケティングDXと、サプライチェーンDXを完全に同化(一体化)させているのです。
つまり、お客さんのタイプごとに、サプライチェーンを細かく管理できるようにしていて、顧客の需要の変化に応じて、いち早く製品化して、素早く届ける仕組みを作っているのです。こういうことをやって事業構造改革を行わないと、効果がありませんということなのです。
ぜひ、このCLOの設置を義務付ける法律改正を契機にして、こういったことに、皆さん、積極的に取り組んでいただきたいと思います。ぜひよろしくお願い致します。
私からの本日のお話は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

 


(C)2025 Masataka Hashimoto & Sakata Warehouse, Inc.

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第558号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(中編) (2025年6月17日発行) /logistics-558/ /logistics-558/#respond Tue, 17 Jun 2025 00:00:00 +0000 /?p=20846 執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究 […]

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執筆者  橋本 雅隆 氏
明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)
明治大学BCP・SCM研究所代表

 執筆者略歴 ▼
略歴
  • 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業
  • 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了
  • 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る

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*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
前号(2025年6月5日発行 第557号)より
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
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目次

  

2025年度から改正物流二法が施行されます。特定事業者によるCLOの選任義務は、2026年4月から施行されるという日程で進めています。今そこで、どんなことを議論しているのか、少しお話をしたいと思います。

改正物流効率化法43条の荷主の取り組み措置について省令でさだめる判断基準

 
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まず、荷主が講ずべき措置ですが、とにかく積載率を上げなさい、荷待ち・荷役時間を短縮しなさい、それからCLOを選任しなさい、というようなことが盛り込まれる予定です。それからもう一つは、それをチェックするために、トラックGメンによる監視、改善要請というものが実施されます。
では、積載率の向上と荷待ち・荷役時間短縮のために具体的に何をしていくのかというと、例えば、「トラック予約システム(バース予約システム)」を導入し利用しなさいとか、あるいは「標準(T11型)パレット」を使いなさいということです。
それから、運送事業者がとるべき行動については、共同物流、混載輸送、求貨求車システムの利用、実車率の向上のための帰り荷の確保、混載共同物流に向けた個建て運賃の導入、輸配送契約の最適化やリードタイムの確保、というようなことについて、荷主さんと協力して取り組むことが求められています。
荷待ち・荷役時間の短縮については、バース予約システムの導入、パレタイズの実施とか、検品の効率化です。発荷主から送られてきた事前出荷明細(ASN)に基づき、効率的に検品することに取り組んでくださいということです。
あるいは、製品のダンボール破損による返品の見直しとか、フォークリフトの活用、物流データの標準化、それからトラックGメンによる監視、荷主と物流事業者の協力というようなことが議論されています。
また、改正法の(第37条、第45条、第55条、第64条)に関連する、貨物量の取り扱いの多い「特定事業者」の指定についてですが、日本全体の貨物量の半分ぐらいがカバーされ、大体3200社位が指定されると言われています。
特定事業者の指定基準は、「特定荷主」と、もう一つ、「特定連鎖化事業者」というのは、例えばコンビニエンスストアのように、発注は店舗で行うが、本部が加盟店を管理し商品を販売する事業者ということで指定しています。これらの対象となるのは、年間貨物の取り扱い重量が、9万t以上となっています。それから、「特定倉庫業者」は、年間の貨物の保管量が70万t以上で上位70社程度、「特定貨物事業者運送事業者等」は、保有車両台数が150台以上で上位790社程度がカバーされる予定です。
それで、その事業者は何をしなければいけないかというと、物流効率化改善の中長期計画を作って、原則毎年政府に提出し、計画が変わらない場合は、5年に一度提出してくださいということです。
それから、その改善結果を毎年報告することと、先ほど言ったCLOを選任し、政府に届け出をしなさいという法律になっています。
この定期報告ですが、「業務負荷の軽減」、あまり負担をかけないような簡易的なチェックリストを用いた報告と、「取組の実効性の担保」という、両方のバランスをどうやって取るかという議論を今しているところです。
今回は特に、荷待ち・荷役時間を必ず測るということですが、荷待ち時間等が一定の時間以下、例えば30分未満のところは免除してもいいのではないか、というようなことが議論されています。
計測方法だとか、報告方法だとか、業界団体からもいろんな声が上がっています。例えば、「荷待ち時間と荷役時間を分けて測るというのは、どうやって測るんだ」とか、結構難しいのです。技術的にはこういうことができる仕組みがあり、これを人でやっていたら大変な負担がかかるので、これを機会にDX化してくださいとか、計測方法については、複数の拠点を回ってくる場合には、どう計算するのかとか、倉庫を寄託している場合には、寄託契約との関係があるので、そこにどういうふうに時間を計らせるんだとか、全部を計測するのは無理だからサンプリングでいいんじゃないかとか、あるいは届け出する時間は平均時間でいいんじゃないか、というようなことを今議論しています。
では、物効法を遵守しようとすると、何をしなければいけないのかということ、これは判断基準なのですが、積載率を上げるために共同配送をしてくださいとか、繁閑差を平準化してください、ということがあり、その時に社内では、調達、生産、物流、販売の関係部門の調整をしなければいけない、そうしないと平準化ができないのです。
だから、CLOの責任というのは、物流の現場だけではなく、荷待ち時間の短縮のためには、バース予約システムを入れるとか、フォークリフトを使って荷役をするとか、その他にも、ここに記載されているようなことが判断基準とされているのです。
このまま現行の事業の作業の仕方(オペレーション)のままで定められた基準を守ろうとすると、どういうことになるかというと、おそらくコストだけが上昇する恐れすらあるかもしれません。
例えば、共同物流や混載輸送をしないままで、輸送頻度を削減して積載率を上げると、在庫負担が増えるかもしれません。発注を平準化せずに、荷待ち時間を削減するために荷受けバースを増やすと投資効率が落ちるかもしれません。
それから、自動フォークリフトの導入は、構内作業のやり方を変えないと、相当な投資負担が重荷になるとか、物流体制の効率化に取り組まないままで付帯料金とかサーチャージとかを支払うと、運送料金の負担が増えるだけになる恐れもあります。
パレットの標準化はどうするのか、今使っているパレットを全部廃棄するのか、新たに購入する機材の投資負担を誰がどうするのか。こうした投資の前提として、社内の組織間連携だとか、取引先や、サプライヤーとの社外連携を行って、まず前提としてオペレーションの見直しをやってください。これがチーフ・ロジスティクス・オフィサー(CLO)の役割です。オペレーション改革をやらないと投資効率が下がり、コスト上がるだけで、投下資本利益率(ROIC)がますます低下するのです。
一つの例として、今バース予約システムの導入が求められていますが、単に導入するだけだと、例えば、トラックが2ヶ所、Aという拠点とBという拠点を回ると、そのバース予約の指定時間が近いと、今まで1台のトラックで巡回して届けていたものが、その指定時間を守るために、トラックを2台出さないといけない等、現場ではいろんな問題が実際に起こる可能性があるのです。だから、道具(システム)だけを入れればいいのではなくて、そのオペレーションの体制を変えなければいけないのです。
実質的な荷役時間を短縮するためには、例えばASNデータ(事前出荷明細データ)を発荷主の方で、荷受けするお客さんのところへ事前に送っておいて、ASNデータと紐づいたRFIDやQRコードを使ってスキャン検品をすれば、検品が終了するような、そういった仕組みに変えていかないといけないのです。要は、ロジスティクスを計画的に運用する体制に改める必要があるということです。
さて、ロジスティクスの改革をどういう前提でどのような方向へ持っていくのかについてお話します。まず、リスクということを、今考えるべきだと思います。
こうした対策はBCPにも繋がってくるのです。能登半島地震は今年の1月1日に発生して、その時に建設した仮設住宅が、9月の豪雨によって大きな浸水被害にあったということがありました。この30年で災害によるリスクがどんどん増加しているのです。「南海トラフ地震」が、30年以内に8割程度の確率で起こるのではないかと言われてるわけですから、拠点の見直しだとか、物流体制の見直しということは、今検討しておかないと大変なことなり、企業は立ち行かなくなるのです。
3.11東日本大震災のとき、発生から約2ヶ月後に仙台のある倉庫会社さんの調査をさせていただいことがあります。この会社では、初めから建設時に倉庫の建物の強度を高めていたり、倉庫が水没しないような準備をしていたため、震災直後も、停止すること無く倉庫は稼働していたのです。ただし、発災時に運行していたトラックでドライバーが本社に状況を連絡しようとしたときに、普段のスマホとかの通信手段が全く使えなくなったため、MCA無線という昔の無線を使ってトラックの状況を把握したりしたそうです。また本社は東京にあるのですが、BCP対応で災害用の備蓄品をすぐに送ってくれたので助かったり、地域住民の方々が倉庫へ避難して、物流センターは、社会的な避難場所としての役割を発揮したそうです。

2つのロジスティクス

 
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対象事象の特性とロジスティクスの類型

 
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こういったことを実施するためには、効率的なサプライチェーン・ロジスティクスだけではなくて、ライフサイクル・サポート・ロジスティクス(Life Cycle Support Logistics)といいますが、こういった施設だとかシステムがきちんと維持可能な体制を整えるためには、様々な対応する仕組みだとか投資が必要になってくるのです。このロジスティクス・リスク低減の方策には、これらの四点があります。

ロジスティクス・リスクの低減の方策

 
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リスク低減方策の相互関係構造

 
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①「共通化・標準化」、次に②「共有化」は、シェアリングをします、トラックで言えば共同物流とか混載をすることです。③「分散化・複線化」は、運ぶルートを複線化し変えるとか、鉄道や船を使いましょう、ドローンを使いましょう、というようなことです。それから、④「可視化・連携化」は、ネットワーク全体を見える状況にしておかないといけないということで、これらをこの順番で進めていかないと、ロジスティクス・リスクの低減ができないのです。

リスク低減施策の対象と相互関連

 
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このためには、製品構成や部品構成を変えないといけないし、仕事のやり方も考えないといけない、拠点インフラや人財化・育成、ここまで標準化、共有化をしないといけないのです。
政府は、今、フィジカルインターネットのロードマップを策定し、実現に向けて取り組んでいます。これは海外で出てきた仕組みであり、簡単に言うと、パケット通信ができるようになってインターネットができるようになったように、モノ(貨物)をパケット化して、輸送能力や拠点能力をシェアリングし、物流ネットワークを運用するという考え方です。そうすると、1台のトラックに、さまざまな貨物を混載して、積算率を上げながら運ぶことができて、こういうやり方をすると、災害が起きたときも、別のルートへの組み替えとか、柔軟な運用ができるようになるのです。
物流がうまくいかなくなる現象というのは、どの国でも積載効率が低いとか、ドライバーの長時間労働とかが言われており、日本だけの問題ではないのです。ヨーロッパでも、フィジカルインターネットに着目し、ロジスティクスおよびサプライチェーン・イノベーションの包括的な促進のため、「ALICE」(Alliance for Logistics Innovation through Collaboration in Europe)という、コンソーシアムが立ち上がって、名だたる企業が入っており、例えば、標準モジュール型のボックスを使って、トラックにモジュール単位で、いろんな商品を混載して、これにQRコードとRFIDタグを付けて、商品情報の共有・オペレーションの相互接続をするということで、今、実証実験をしているところです。日本でも進めましょうということで、経産省、国交省が中心となって、このロードマップを作成しました。

フィジカルインターネット・ロードマップ

 
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この「フィジカルインターネット実現会議」の委員会で2040年までのロードマップを作成しました。一言で言うと、物流ネットワークを水平連携と垂直統合でシェアリングして、効率的に運用することなのです。

では、実際どう進めていくのかについては、このロードマップの下に業界別にアクションプランを作りました。最初に、加工食品業界と日雑業界で2030年までのアクションプランを作りました。
この委員会(「フィジカルインターネット実現会議」 スーパーマーケット等WG)で作成する、アクションプランというのは、以前から実行すべき課題は既にわかっていたのですが、実現していくためには、できない理由(実現条件間の対立項目)があるため、CRT(Current Reality Tree: 現状問題構造ツリー)分析を行い、こういうことを解決していかないといけないという、「対立解消アイデア挿入後のアクションプランの関連図」を作成しました。
これはこの委員会の報告書(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/physical_internet/pdf/006_03_01.pdf)で、皆さんもご覧いただけると思いますが、この図では何が重要かというと、委員会で議論しているのは、こういうルールを変えましょう、それから前提となる、例えば、製品のマスターを変えましょうとか、事業所コードを共通化しましょうとか、パレットを標準化しましょう、といったことを行っているのですが、これを運用するための企業側のビジネスの仕組み、この肌色で色付けしている図の部分、これを一つずつ変えていかないと使うことができないのです。これらが、後にお話しするCLOの役割になるのです。

※後編(次号)へつづく


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第557号 物流二法の改正とサプライチェーン改革の方向性(前編) (2025年6月5日発行) /logistics-557/ /logistics-557/#respond Thu, 05 Jun 2025 00:00:00 +0000 /?p=20833 執筆者  橋本 雅隆 氏明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)明治大学BCP・SCM研究所代表  執筆者略歴 ▼ 略歴 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業 明治大学大学院 経営学研究 […]

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執筆者  橋本 雅隆 氏
明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学)
明治大学BCP・SCM研究所代表

 執筆者略歴 ▼
略歴
  • 早稲田大学 理工学部 工業経営学科 卒業
  • 明治大学大学院 経営学研究科 博士前期課程を修了
  • 一橋大学客員教授等を経て、2015年より現職に至る

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*サカタグループ2024年10月23日開催 第28回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回、明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 博士(商学) 橋本 雅隆 先生の講演内容を3回に分けて掲載いたします。
*掲載内容は、講演が開催された時点でのデータや情報を基にしているため、現在の状況と異なる場合があります。
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目次

  

はじめに

ただいまご紹介いただきました、明治大学の橋本でございます。本日のテーマ、「物流効率化法とサプライチェーン改革の方向性」についてお話していきます。

 
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本日冒頭にお話をする物流効率化法は既に公布されており、2025年度から施行されます。

 
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本日お話する内容は、この3点です。「2024年問題と物流効率化に関する行政の動き」ということと、政府が方向づけをしている、「リスクに強いサプライチェーン」とはどういうものなのか、それからこの法律で定められている、物流統括管理者、俗にCLOと言っていますが、「CLOの役割と求められる人材」についてお話させていただきたいと思います。

2024年問題対応に関する行政の動き

 
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まず、2024年問題と物流効率化法に関する行政の動きについて、少しおさらいをしておきたいと思います。ご承知のように、2024年問題に関して、この4月から労働基準法と改善基準告示が改正されまして、トラックドライバーの所定外労働時間の上限規制が年間960時間に設定され、このまま続けていくと、ひとつの試算ですが、コロナ前の2019年に比べて14.2%ぐらいのものが届かなくなるということです。
更に6年後の2030年には、34.1%、つまり3分の1ぐらいのものが届かなくなるという試算が出ているわけです。これは放置しておけないのでこの法律が施行されるわけです。なぜこういう状態になったかというと、平成2年に物流二法が改正され、トラック運送業の新規参入が実質的に緩和されたことで、それまで約4万社だった運送事業者が、約6万社、1.5倍ぐらいに増加しました。
このため競争が非常に厳しくなり、全産業平均よりも、労働時間が約2割長く、年間賃金は約1割前後低くなっており、若い方がドライバーになりたがらないのです。
政府では、2024年問題の影響について試算をしており、影響が大きい業界は、農産・水産品、建設業・建材であり、こういったところでは、物流コストが上がっていくということと、地域的には、中国、九州地方といった、地方の影響が大きいと言われています。

(1)「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の設置

 
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これは放置できないということで、一昨年の9月に、この三省で、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/sustainable_logistics/index.html)が設置され、この対策が議論されました。ここでは、主に3点ほど指摘がされました。
その中では、荷主、特に経営者層の方が、物流についてもっと関心を持っていただきたいということです。また、消費者も、再配達とか、いわゆる賞味期限の問題だとか、行動変容をしてくださいということが一つあります。
それからもう一つは、非効率な商取引慣行の見直しと、トラックの荷待ち・荷役時間の削減です。これが長いとドライバーがずっとトラックの中で待っていなくてはいけないのです。今後対策をとらないと、ドライバー不足のなかで、更に届けられなくなるのです。
それから、リードタイムの問題です。今日注文した商品を、明日届けなければいけないとか、厳しい条件で輸送しているので、最短でもN+2のリードタイムを取るといった変更です。また、発注量のピーク・ボトムの差が非常に大きいので、稼働率や積載効率が低くなる。こういうところの平準化をするということです。
あるいは、運送業の運送契約の問題です。これは多重下請け構造というのがあって、実運送の実態が元請けの段階で十分把握されていない場合も多いのです。こういったことを改善し、適正な運賃・料金を払うようにするということです。
その前提となるのが、物流標準化、デジタル化、共同化、モーダルシフト等による効率化です。これは、改正省エネ法を下敷きにして法改正をしました。
物流は、発荷主、受荷主、それから運送事業者があって、そこも元請け・下請けの構造になっていて、こうした物流の問題を解決しようとすると、発荷主の方は、「お客様が受荷主であるため、お客様の言うことを聞かなくてはいけない」、受荷主の方は、「物流現場は、物流会社が作業していて、その実態はよく知りません」となり、物流会社へ行くと、「発荷主から指示されてるから、その通りやっています」ということで、どうどう巡りになってなかなか解決しないので、これは法改正により、ある程度規制しないといけないということになったのです。
こういう構造的な悪循環が発生する原因は、相対的に買い手の荷主の交渉力が強く、厳しい納品条件が課せられるとか、あるいは、店着価格制といって、お店へ商品を届けるまでが、売り手の責任になっていて、その中で商品の金額と物流費が明確に区分されていないのです。それに、前に述べた通り、運送契約は発荷主と結んでいるので、受荷主側でドライバーが荷役などの付帯業務をさせられても、料金の請求は受荷主に求めづらいという問題があるのです。しかしながら、先ほどお話しました、多重下請け構造というのがあり、労働時間規制もあり、これから物流危機なので商慣行や構造改革に取り組もうとなった時、やはり着荷主の協力も重要ですし、物流の標準化、効率化が重要となってきます。
そこで、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、実際に、荷待ち・荷役時間の短縮や、リードタイムの長期化、あるいは契約条件の明確化というようなことが方向づけられたのです。

(2)「物流革新に向けた政策パッケージ」の決定

 
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これらを具体化するために、昨年の3月に「物流革新に向けた政策パッケージ」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/content/001725232.pdf)が決定され、そこで、商慣行の見直し、物流効率化、あるいは荷主の責任について、この政策パッケージの中に盛り込まれています。
ここで、荷主と、物流事業者さんへ努力義務を課して、そこで規制をしていこうという方向になりました。その他にも、食品等の納品期限の3分の1ルールの見直しとか、あるいは多重下請け構造の是正ということを記載しています。
具体的な施策としては、ここに挙げているように、トラックドライバーの稼働率を上げましょうということで、荷待ち・荷役時間を2時間以内に収めることを目標にしています。
それからもう一つは、積載効率です。今これは、平均が40%を切ると言われており、約60%空気を運んでいるわけですから、そこをせめて50%以上に引き上げという目標がパッケージに記載されました。

トラックGメンの創設

 
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こういった流れの前に、「荷主への働きかけ等の制度」というのは、貨物自動車運送事業法が平成18年に改正されました。そこで、いわゆるトラックの効率化に資するような取り組みの実施を促進するために、この枠組みを使って去年の7月に、トラックGメンが全国162名の体制で、「物流の現場でこんな困り事がある」という情報を入手し、物流事業者や、あるいは荷主のところへ行って、「何とか改善してください」という要請をしているところです。
この「相談窓口」というか、「目安箱」が、ネット上に設けられ、また、いわゆる「プッシュ型(積極的)情報収集」を基に、トラックGメンによる情報収集が進んでいます。これは、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」という段階になっていますが、要請しても改善されない場合には社名を公表します、ということです。
例えば、長時間荷待ちで待たされるとか、運賃の契約を10年以上改定してもらっていないなどの情報を得て是正指導をしています。
このトラック事業者への活動実績ですが、これも国の資料ですが、昨年から月当たりの、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」の件数が上昇しており、特に11月から12月の間、通常月の倍ぐらいになっており、今年も11月~12月に「集中監視月間」を設けており、集中的にチェックするのです。
活動の中身としては、長時間の荷待ち、契約にない付帯業務、これはドライバーに積み下ろし作業を任せて、きちんとその料金を支払っているのか、そういったところがチェックされます。

(3) 改正物流二法の制定

 
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こういった流れの中で、改正物流二法、「物流効率化法(流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律)、および貨物自動車運送事業法、の一部を改正する法律」が今年の4月に通常国会で成立し、5月に公布されています。
この柱は大きく三つあり、①荷主・物流事業者に対する規制的措置、②トラック事業者の取引に対する規制的措置、それから、③軽トラック事業者に対する規制的措置、からなっています。

荷主・物流事業者に対する規制的措置

 
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この「規制的措置」は、法律上は、発荷主を第一種荷主、それから着荷主を第二種荷主と定義し、その効率化のために取り組むべき措置を示しており、これが先ほど言ったように、「荷待ち・荷役時間の短縮」と「トラックの積載率の向上」に対して、これらの努力義務を課して、その取組状況について、「判断基準」に基づいて、国が指導・助言、調査・公表を実施することになっています。
それから皆さん関心があると思われる、この「特定事業者」というのは、年間の荷物の取扱い量の多い事業者を指定して、物流の効率化に関する中長期計画の策定と、事業年度毎のその成果を報告する義務を課しています。
さらに、特定事業者では、それらの管理をする「物流統括管理者」という、海外ではCLO(チーフ・ロジスティックス・オフィサー)と言われてる責任者の選任を義務づけています。CLOは、基本的に経営上の意思決定に関与できる職位の者が望ましいとされております。

トラック事業者の取引に対する規制的措置

 
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それからトラック運送事業者の取引に対しては、書面による運送契約の締結と、付帯業務の料金の明示、燃料サーチャージの取り決め等の義務化です。もう一つは俗に下請け台帳(実運送体制管理簿)の作成が言われています。実運送の管理簿を元請が管理し、それによって実施後3年で、荷待ち・荷役時間を、ドライバー1人当たり年間125時間削減し、積算率向上による輸送能力を16%上げること目標として示しています。これらが、改正物流二法により定められているのです。
冒頭にお話ししたように、これを、省令、政令という形で落とし込むので、それぞれの中身を今決めているところです。これらは、三省合同会議(国交省・経産省・農水省三省の合同会議)でこの中身について今議論しているところです。

※中編(次号)へつづく


(C)2025 Masataka Hashimoto & Sakata Warehouse, Inc.

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第556号 ロジスティクスEDI構想~日用品業界におけるメーカー・卸売業・物流事業者の協働推進活動~(後編)(2025年5月27日発行) /logistics-556/ /logistics-556/#respond Tue, 27 May 2025 00:00:00 +0000 /?p=20826 執筆者  上原 英智 株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 執筆者略歴 ▼ 略歴 1996年4月 株式会社プラネット入社 2015年4月 営業部長 2017年4月 執行役員 ネットワーク […]

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執筆者  上原 英智 株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長
執筆者略歴 ▼
略歴
  • 1996年4月 株式会社プラネット入社
  • 2015年4月 営業部長
  • 2017年4月 執行役員 ネットワーク推進本部副本部長兼営業部長
  • 2018年8月 執行役員 ネットワーク推進本部担当役員
  • 2024年4月 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長
  • 現在に至る

*サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回株式会社プラネット 執行役員 ネットワーク推進担当役員 上原 英智 様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。
*前号(2025年5月15日発行 第555号)より

目次

 

ASNデータのヴァージョン別データ設定方法

 
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話を戻しますと、「ASNデータ、ASNデータ」と言っていますが、今、日用品のメーカーさんと卸売業さんの間では、バージョンを1、2、3と定義付けをしています。一番簡単なものがASN1.0です。これは今お話した伝票レスを主目的にしますので、日別、出荷元別、納品先別に、いつ、どこからどこに、こういう製品がこの数量届きますという、本当に(出荷明細の)素の情報が通知されるものが、ASN1.0です。 ASN2.0になると、1.0の情報に加え、一番大きな違いは車両の括りのところです。先程言ったとおり、「この車両には、この製品群が積載されています」という括りのコード(車両識別コード)がついているのがASN2.0です。 さらに進んだものがASN3.0で、「この車両のこのパレットには何がいくつ載っています」というところまで分かるものがASN3.0です。ただ、今の日用品業界の中で、まだ3.0までは、ハードルが少し高いかと思っていますので、ASN2.0を中心に、今普及推進を進めているところです。

ASNデータ1.0のデータ設定

 
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ASN1.0のデータ設定について、どのようなものか示したものがこちらの図表です。すごく簡単なのですが、①番の例は、「車両1台」で1メーカーさん分があります。「いつ、どこからどこに、この商品をこれだけの数量で持っていきます」という情報があります。出荷梱包番号の1番や2番のところが空白になっているのは、特に車両を括ったり、パレット単位にしたりというものが無いためで、情報としては空欄ということです。 ②番の「複数車両」の例は、結果的に複数の車両になったとしても、メーカーさん側と言いますか、発側では、この車両に、これだけ載っているという数値を、とらまえられない状態があるので、「これだけは1日で持っていく」というところまでは決まります。しかし、結局、車両の手配の都合であったり、積んでみないと分からなかいこともあるので、そうした時には、このようなデータ設定になります。

ASNデータ2.0の場面整理

 
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車両別のASN2.0に関しては、考え方が細かくあるのですが、ここでは省略します。これは私が全部整理したものですが、当初96パターンぐらいあったものを、4つのパターンに収れんしたものです。

ASNデータ2.0のデータ設定

 
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まずはメーカーさんの単独拠点の例です。1つのメーカーさんの出荷拠点で、パターン1は1台の車で、1台の車の中に3パレット分載っています。車ごとの番号というイメージでいいかと思いますが、出荷梱包番号1番のところに「この車です」というコードが入っています。 パターン2は、複数車両になっており、メーカーBの部分が1号車と2号車で、それぞれこれだけの量があります。一番下に「出荷梱包番号1にセットする値は云々」と書いているのですが、ここはまだ標準化に至っていません。 というのは、GS1で物流に関するいろいろなコード体系を準備いただいていますが、GS1で考えている前提がほぼヨーロッパの基準となっています。「ヨーロッパの物流事情を考慮し、こういう運び方のときに、この集合包装用コードにはこういうコード体系の仕様がいいのでは」というものはあるのですが、日本国内の物流事情に合わせたときにピタッとくるものがまだ無い状況です。 「日用品業界で決めましょう」という話もありますが、それをやってしまうと、(日本独自の)ガラパゴス的な感じになります。これに関しては、今日の説明の冒頭であった「製・配・販連携協議会」(https://www.gs1jp.org/forum/)が、複数の業界にまたがっていますので、その中でワーキンググループを設けて、議論、検討していくのがよいのではないかと考えています。ですので、今ここの部分だけは、標準コードではなく、ローカルコードで動いているところですが、いずれは、きちんと決めなければいけないのです。

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パターン3、パターン4は、複数メーカーさんの共同拠点です。1つの拠点から複数のメーカーさんの製品が出荷される場合の例です。この図表では、AというメーカーさんとBというメーカーさんの商品が1台の車両に載っています。この車両を特定するには、緑色の枠の「出荷梱包番号」で識別をして、梱包の内容は明細データを見るとわかるという流れになります。 パターン4は複数の車両になり、かつ、複数のメーカーさんの商品がトラックに載っています。この1号車にはメーカーさんAとBの分が載っていて、2号車にはC、D、Eのメーカーさんの商品が積載されているという形になります。

ASNデータ ヴァージョン別のデータ設定項目

 
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少しシステマチックな資料ですが、今、お話ししてきたASNのバージョンの1.0と2.0、それから最後のASN3.0について、データのバージョンの見分け方に関しては、まず青文字で書いている出荷梱包番号1が入っているか、いないかという識別と、赤文字の出荷梱包番号2が入っているか、いないかという識別ですので、基本的にここを見て判別できます。 先程お話した「賞味期限管理は、ASNデータの利用により効率が上がる」という件、賞味期限情報はASNのバージョンが何であっても効果的に使えますので、いつでも入れていただいて結構です。当然、賞味期限管理をしない商品もありますので、その場合は△の印にしています。

物流現場の情報をASNデータに付加する機能 ロジテラス(LGITERAS)

 
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今、お話ししたASNデータですが、商品の賞味期限情報や、ロット番号など、「この車両に載せました」という括りのコードなど、物流現場にある情報がASNデータに反映され、こうしたものが荷受け側である卸売業さんに届けられるというところが、一番価値が高まる部分かと思います。 しかしながら、メーカーさんのいわゆる物流に関する仕組みは、自社のWMSで管理していることもあれば、全て3PLにお任せして、物流事業者さんのWMSで管理しているところもあり、メーカーさんにより事情が大きく違います。日用品のメーカーさんでは、外部の3PL事業者さんにお任せしていることが多いので、ASNデータの基本情報は自分のところで作れます。 しかし、物流現場にあるような詳細な情報に関しては、メーカーさんは自分では作れないので、簡単に言うと、「それでは、両方プラネットの中でデータをドッキングさせて、価値ある情報にして卸売業さんに届けましょう」といった機能を、今までとは違う、「LOGITERAS(ロジテラス)」というサービス名で準備をしました。

ロジテラスの主な搭載予定機能

 
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この「LOGITERAS(ロジテラス)」に、今後、物流に関するさまざまな機能を搭載していこうと考えています。 全部は紹介できないのですが、左上の「物流進捗状況の可視化機能」では、卸売業さんが発注して、確かにメーカーさんが受注しましたという段階や、製品をどの段階で出荷したのか、いつ出荷したのか、ということが分かります。 さすがにどこの高速道路を走っているのか、今どこにいるのか、というところまでは押さえられないのですが、荷受けがされたとか、きちんと入荷計上されたというところに関しては可視化できます。荷物を出した側は出した側の気になるポイントがありますし、待っている側は待っている側の気になるポイントがありますので、これをポイントポイントで可視化できるということは、有効ではないかと考えています。 1つ右に飛んで、「納品案内書や物品受領書の出力機能(PDF提供)」があります。これは大手のメーカーさんと大手の卸売業さんの間で、お互いにプラネットを通じてデータをやり取りすれば、EDIはできるのですが、中にはシステムの開発投資ができないというメーカーさんや卸売業さんがいます。 そこで、例えば、メーカーさんが「自分のお取引のある卸売業さん全てに対して、ASNデータを送信することで、伝票レスを実現したい」となったときに、システム開発投資ができない中小の卸売業さん向けには、簡易的にメールを利用したツールを作り、「ここから情報を取ってください」という形であれば、実現できると思いますし、逆方向の場合(卸売業さんからメーカーさんへの送信)も同じ方法でできると考えています。 下段に、「ユニット管理データ生成機能」と書いていますが、これはパレットやカゴ車など、いわゆるリターナブルな物流資材は、結局、製品と一緒に車両で運び、納品先へ行っているわけです。現在パレット伝票で管理をしているということなので、これを製品と同じレベルでデータ管理をすることで、こうしたパレット等の物流資材を管理することも、デジタル化できないかと考えています。 次にバース予約システムです。いろいろなところで導入されています。出荷側のお話を聞くと、例えが良いか分かりませんが、人気アーティストのライブチケットを取るような形で、とにかく早い者勝ちで、申込画面から入力しているそうです。こうしたところに関しても、アイデアとしては、ASNデータが複数あり、同じ日にこれだけの車両が行くのであれば、「こういう順番で車両をつけたら、一番効率的に荷を降ろして格納ができるのではないか」という情報を自動的に作成し確保するような、人がなんとかするというよりも、データに対して(AI等を利用した)+αの知恵で何かできるのではないかと思います。これは、まだアイディアベースですが、今後こういうところを目指して動いていきたいと考えています。

入荷検収データの運用イメージ

 
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今、ずっとASNデータの話をしていたのですが、入荷検収データの運用イメージを入れました。基本的にはASNデータは、いつ、どこからどこへ、どのような製品が、どれだけ届くという情報ですから、それが到着したら、卸売業さんからは「確かに56ケース入荷しました」という情報を戻していただきます。 下の行は、「メーカーさんは90ケースと言っていましたが、72ケースしか届なかった」という時の例です。こういうことが頻繁に発生すると困りますが、返送するデータの書式はこういうイメージになります。 また、今、紙で管理している受領書は、メーカーさんまで戻っていないことが多いのです。物流の業務は、基本的に物流事業者さんにお任せしているので、今は物流事業者さんの方でこの紙を大量に保管しているということが、実態かと思います。監査等があると、メーカーさんから「いついつ迄に、この期間の受領書を準備してほしい」、という連絡が入り、そこで受領書を探すみたいな実情もありますので、この入荷検収データをメーカーさんだけに戻せばいいのか、物流事業者さんも見られる方がいいのか、ここは、これから業務設計をして、議論を行い、システム機能追加をしなければいけないところです。 今、ずっといろいろな取り組みの話をしてきましたが、次に、直近の情報をご紹介させていただきたいと思います。

物流の適正化・生産性向上に向けた日用品メーカー自主行動計画

 
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昨年2023年10月に、政府から「物流革新緊急パッケージ」の発表があり、各業界で「自主行動計画」を作るように呼びかけがありました。これを受けてたくさんの業界・企業が昨年の年末に向けて、いろいろな交渉をしました。日用品業界のメーカーさんも、12月に取りまとめを行い(「物流の適正化・生産性向上に向けた日用品メーカー自主行動計画」:https://www.dei.or.jp/project/supplychain_kyogi/pdf/info-actionplan-202312.pdf)、内閣府のホームページ(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/jisyukoudoukeikaku.html)だったと思いますが、今はそこに各業界の「自主行動計画」が掲載されています。

経産省事業:セブンーイレブン店舗向け共同配送センターへの納品データ電子化の実証実験

 
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それからこれはプレスリリースされたものですが、経済産業省の事業として、セブンイレブンさんの九州の共同配送センターに対して、複数の業界のASNデータをお渡しすることによって、荷受けの効率化が図れないか実証実験をしています。これに関しては日用品業界だけではなく、酒類、食品、菓子、加工食品業界のメーカーさんも協力をされました。 実験は2月に終わっていますので、いずれ公的な報告が上がってくると思います。これは「実施します」というときのプレスリリース(https://www.dei.or.jp/aboutdei/pdf/press/20240205.pdf)です。基本的には、セブンイレブンさんと日用品メーカーさんとの直接のお取引ではないので、帳合先の卸売業さんから注文が入り、その注文を受けて、納品はメーカーさんから直接持っていくことになります。メーカーさんとしては、流通政策上、直接セブンイレブンさんにデータを渡すということができませんので、基本的には、卸売業さんにデータを渡します。 これは日用品業界の例ですが、帳合先の卸売業さんからSIP基盤(納品伝票エコシステム)を通じて、セブンイレブンさんへこういった形でデータが行き渡るのです。このようなことを各業界で実証実験を実施したということですので、実装に関してはおそらくハードルがいくつかありますが、今後のことについては、こういった活動を、プラネットというよりも、日用品業界全体として、取り組んでいるところです。

ロジスティクスEDIの期待効果、経営インパクト

 
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ロジスティクスEDIの現場的な効果については、先程からお話してきたところです。企業経営と言うと(インパクトが)大きいかもしれませんが、メーカーさんや卸売業さんが社会的に求められる役割に関しても、こうした取り組みによってインパクトがあると思います。 特に今は、「持続可能な社会をつくる」という、キーワードが出てきますし、ここには表示されていませんが、ESGというキーワード、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)ということで、株式公開企業であれば投資家の方々からの厳しい目も入ってきます。 このテーマに関して、様々な手を打たれているのが、いろいろなメーカーさんであったり、卸売業さんであったりするのですが、この物流に関する取り組みを、実施するということが大変大きなことかと思います。「物流リソース」という言い方が正しいかどうか分かりませんが、世の中にある倉庫やドライバーさんの数というのは無限ではなく、有限なのです。最後には皆で取り合いになるみたいな話になってしまいますが、そういうことではなく、「限りある物流のリソースを皆さんで共有して使っていくには、どうしていくことがよいのだろうか」と考えることが「協調物流」というキーワードになるのではないかと考えています。

ロジスティクスEDIの将来展望

 
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「共同物流から協調物流へ」とありますが、今、日用品業界の中で、共同保管、共同配送を実施している拠点が、全国で6か所位あります。ただ、共同保管、共同配送に向いている特定の条件というものが、恐らくあると思います。 加工食品業界のF-LINE(https://www.f-line.tokyo.jp/company/map/)さんは、北海道と九州で共同物流をされています。先程申お話したように、日用品も北海道と九州では、十数社で共同物流を実施しているということなので、エリア特性など、向く、向かないというのがあると思います。それでは、将来、どのように進んでいくのかと言いますと、本日お話ししたように「ロジスティクスEDIで物流領域のデジタルデータ化を進めていく」ということに取り組んでいます。 物流のテクノロジー、いわゆるロボットやAIなど、新しい技術をどんどん使っていきましょうという部分と、どこまでいっても物流はリアルなものですから、業務オペレーションの改善、こうしたものを組み合わせることで、次世代の「協調物流」、1つステージが上がったような物流の世界というものが築けるのではないかと考えています。 例えば、「ある物流センターに、今日はこれだけの台数の、これだけの製品が届けられます」というデータが、あらかじめ分かっていれば、「このメーカーさん(のトラック)は、こういう順番で、何時につけると、こういう形で(積荷を)降ろせますよ」という形で、みんながハッピーになります、ということです。 空港で「次の便、降りてください」みたいに、指示を出す管制塔がありますね、ああいう管制塔の機能が産業界の中にあると、情報だけでなく物流の実体、実情も踏まえた上で、「このメーカーさんは、こういう順番で、(トラックを)何時につけると、こういう形で降ろせますよ」みたいに指示を出すような、(物流と情報流の)コントロールタワーのような役目を果たすものが世の中にあると、(次世代の「業界協調配送の実現」により、)ハッピーになるのではないかと考えています。 私の話は以上でございます。長時間ご清聴いただきまして、どうもありがとうございました。

 
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第554号 ロジスティクスEDI構想~日用品業界におけるメーカー・卸売業・物流事業者の協働推進活動~(前編)(2025年4月22日発行) /logistics-554/ /logistics-554/#respond Tue, 22 Apr 2025 00:00:00 +0000 /?p=20788 執筆者  上原 英智株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長 執筆者略歴 ▼ 略歴 1996年4月 株式会社プラネット入社 2015年4月 営業部長 2017年4月 執行役員 ネットワーク推 […]

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執筆者  上原 英智
株式会社プラネット 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長

執筆者略歴 ▼
略歴
  • 1996年4月 株式会社プラネット入社
  • 2015年4月 営業部長
  • 2017年4月 執行役員 ネットワーク推進本部副本部長兼営業部長
  • 2018年8月 執行役員 ネットワーク推進本部担当役員
  • 2024年4月 執行役員 セールス&サービス推進ユニット長
  • 現在に至る

*サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナーの講演内容をもとに編集しご案内しています。
*今回株式会社プラネット 執行役員 ネットワーク推進担当役員 上原 英智 様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。

目次

 

 
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はじめに

本日、私の方からお話する内容は、今、日用品業界のメーカーさんと卸売業さん、それから物流事業者さん、この3社で、このような考え方でこんなことをやっています、今後こんな方向に向かっていく予定なのです、というようなお話をさせていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 
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まずは、プラネットの紹介をさせていただきます。1985年に、日用品のメーカーさん8社、それから情報通信・SI企業のインテックさんの出資によってできた会社です。当時は、日用品業界のメーカーさんと卸売業さんの受発注であるとか、請求決済、こうしたことをEDIデータを使ってお互いにペーパーレスで業務効率化をしましょう、基本的には商流領域のEDIをやりましょうということでスタートした会社です。

 
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現在は、日用品業界の他に、ペットフード用品業界、それからドラッグストアで売っているOTC医薬品(処方箋なしで買えるお薬)、こういった非食品業界を対象に、我々の事業領域のメインは、メーカーさんと卸売業さん、こちらの間でのデータ交換と認識いただければと思います。我々のサービスの提供を行う際の姿勢としては、右下に書いてある四つのキーワード、「中立」、「標準」、「安全」、「継続」があります。
まず「中立」というのは、例えばメーカーさんと卸売業さんがいて、メーカーさんばかりの声、卸売業さんばかりの声ではなくて、両者の声を聞いてバランスよくサービスを投入していきますよ、ということです。それから、この業界の中には大手企業さんばかりではなく、中小企業さんもいらっしゃいますので、どちらか一方の機能だけということではなくて、大手の企業さんも使えるし、中小企業さんも使えるような機能提供をして、流通業界全体を、包含していくようなEDIサービスを行っていますという、こういったところが、中立の姿勢となっています。
それから「標準」ですが、我々が考えている標準の段階というのは4つあると思っています。まずは、標準仕様を作りましょうということで、データの仕様もそうですし、物流の設計、外装表示もあると思うのですが、業界標準をまず作るというところ、これが第1ステップです。
標準は作っただけではなくて、皆さんに使っていただかないといけませんので、普及推進をしましょうということで、こういう考え方で世の中がハッピーになる(便利で得になる)ようなことなので、皆さんこの仕様でいきましょう、ということで進めていくことが、大きな2番目です。
3番目は、標準の維持ということです。世の中の環境の変化やテクノロジーの進化により、「当社だけこんなふうにしたい」みたいなところがあり、そういった1社が少しづつ変えていくと、標準がガタガタになって崩れてしまうということになりますので、いやそうではなくて、そうは言ってもこの範囲の中でやっていきましょう、というように標準を維持するということです。
最後に4番目は、3番目に近いのですが、世の中、環境が変わっていきます。
流通環境が変わっていく、社会環境が変わってくる、テクノロジー環境が変わっていく、そうしたときに、1回作った標準をずっと変えないのかというと、そんなことはなくて、(環境に合わせて)変えていきましょうということです。我々直近のことで、商流で言えば、軽減税率がどうとか、インボイス制度とか、それから電子帳簿保存法(電帳法)とか、いろんな変化があるわけですから、その中でシステム対応を行っていきます。日用品業界を中心に、メーカーさんと卸売業さんが集まって、次はどういうビジネス取引にしていきましょうか、それだったらシステム仕様はこういう形にしましょうとか、このようなことを全て行って初めて、標準の活動になると認識しています。我々はそういったことを30数年間、愚直に取り組んでいます。
それから、我々は様々な業界のビジネス取引をしていて、加工食品業界ほどではないのですが、包含している業界を合わせると、ビジネスの市場規模でいうと、大体、約5兆円位の規模があり、そうしたメーカーさんと卸売業さんの取引は止めることができまませんので、「安全」というキーワードがあります。
当社の事業のなりわいとしては、流通業界の情報インフラストラクチャーですので、このビジネスを「継続」をしていくという責任感を持ち、これまで商流EDIを展開してきました。本日のメインの話は物流の話になりますので、このようなことで物流が始まりましたという点について、この後お話をさせていただきたいと思います。
少し繰り返しになりますが、我々の成り立ちは日用品・化粧品業界からスタートし、現在はペットフード・用品の業界、それからOTC医薬品業界、そういったところを中心に、本日の資料に掲載しているような業界、それから、このカテゴリーのメーカーさん、卸売業さん、そういった業界の企業の皆様にご利用いただいているというような状況です。

ロジスティクスEDI構想

 
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本日の講演テーマ「ロジスティクスEDI構想」ですが、なぜこの「ロジスティクスEDI」にプラネットが尽力しているかについて、最初にお話します。
基本的には目的は二つあります。1つ目は、エネルギー費用の高騰であるとか、世界中でいろんな紛争が起きていることで、今後の物流費の高騰を考えると、あまりポジティブなニュースが入ってこないのですが、何とかしてこの物流費の高騰を抑えなければいけないのです。このためには、誤解していただきたくないのですが、何も物流事業者さんに対して、費用を何とかしよう、抑えつけようとかそういうことではなくて、何か工夫をして、今あるものを持続できるような形にしないと、コストは上昇していくと考えています。
それから2つ目は、安定した商品供給を持続することです。お取り扱いの製品、商品は生活必需品ですので、メーカーが生産した商品を、卸売業さんは、高精度で細かなバラピッキング物流ができ、その能力をもって、きちんと小売業様の店頭に並んで、生活者の方々に製品、商品を取っていただくことが必要になります。ここまでいかないと、業界全体としては役目を果たしたことになりませんので、そうしたことを、今の言葉で言うと、サスティナビリティな物流、この持続可能な物流を実現するために、我々は今活動をしているところです。
では、どうやって実現するのか、資料右上「方法」に書いていますが、基本的には物流分野の標準化したデータを、メーカーさん、卸売業さん、それから物流事業者さんでデータ交換をする、これが我々の提供するサービスの一つです。

 
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我々が提供する「ロジスティクスEDI」、これによって物流のオペレーションを変えていき、これで物流業務の改善を図っていくという機能を提供しています。
その一つとして「ロジスティクスEDI概要書」を、2020年2月に発刊しました。この中で何をしたのかというと、まずメーカーさん、卸売業さん、物流事業者さんが、どのような情報をやり取りして改善していけばいいのだろうということで、いろんな取り組みや活動をする前に、大きな俯瞰した図を作ってまとめたものがこの概要書です。ここに書いてあるメーカーさんには、都度、ワーキンググループ(以後WGと表記)を開催し、有識者という立場から、いろいろな見解、「実情はこうなんだ」というようなことを、議論をいただいたところです。

 
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WGでは、やり取りする情報について議論し、28種のデータが必要というところまで整理ができました。その中身については、1番の事前情報交換というところから始めて、それから2番目に発注、これは卸売業さんからメーカーさんへの発注業務、それから、3番目、この辺りが今世の中でたくさん言われているところだと思いますが、メーカーさんの出荷と卸売業さんの入荷の部分、これに対する業務の範囲、それから4番目が、卸売業さんの入荷検品、卸売業さんの倉庫に入った後、バースについた後の業務範囲です。
本当はここで終わればいいのですが、返品というのも現実に存在しますので、5番目が「返品についての合理化のところはこうだよね」、というようなことを整理をして、全部で28種のデータが必要という所にたどり着いた次第です。

 
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「化粧品・日用品業界における物流課題への取組み」をどんな体制でやっているのかが、こちらの図なのですが、中央の「ロジスティクスEDI推進会議」は、我々が主催させていただいて、7社のメーカーさんが毎月集まり、この業界のいろんな取り組みについて、何から始めて、何を優先して解決していくのか、という方針を決めることと、我々の得意分野はデジタル(情報)の部分ですから、データの実装についてはどうしようか、というような原案を考えているところです。
右上の部分が、流通経済研究所さんが主催している「サプライチェーン物流生産性研究会」(https://www.dei.or.jp/project/supplychain/)で、荷主であるメーカーさんと、メーカーさんをサポートする物流事業者さんが集まって、今大体25社から30社ぐらいの参加ですが、こちらはどちらかというと、リアルな物流現場の改善について、研究テーマを設定し、どうしていこうか、という施策について議論をしているところです。
デジタル面(情報)とフィジカル面(物流)で、それぞれ検討し、スライドの中央と右側の二つの会議団体は、出荷側です。受け側の卸売業さんは、左側の全卸連(http://zenoroshiren.jp/)という、日用品とか化粧品の卸売業さんの連合体があり、そこの情報システム委員会というところに、それぞれメーカーさんの案、物流事業者さんで考えた案を持ち込んで、卸売業さんとディスカッションを行い、業界としてこれをガイドラインとして進めていこう、ということで取り組んでおり、これらの計三つの会議団体で運営している形となっています。 *1
(注釈)*1..2024年5月に、日用品メーカーが商品供給・物流に関わる社会課題に協働して取り組むことを目的に「日用品サプライチェーン協議会」(https://www.dei.or.jp/project/supplychain_kyogi/)を設立。「ロジスティクスEDI推進会議」と「サプライチェーン物流生産性研究会」は、いずれも本協議会へ参加する形で活動を実施中。

化粧品日用品業界の活動と製配販連携協議会WGの関係

 
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三つの会議団体を左側に書いていますが、もう一つ、国としてはフィジカルインターネット *2 を2040年頃までに実現することを目指しています。実際にどうやって具体的に実現していくのかに関しては、流通経済研究所さんが事務局をしている「製配販連携協議会」という協議会があり、この動きと我々が物流に関して主催している「ロジスティクスEDI推進会議」と連携し活動をしています。
(注釈)*2..経済産業省ホームページ/フィジカルインターネット・ロードマップ(https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304005/20220304005.html)
というのも、研究会の主催が流通経済研究所さんですので、フィジカルインターネットを目指すにあたって、日用品業界のメーカーさん・卸売業さんの動きがずれないように、また同じような検討を、いくつかのところで行っても仕方がないので、この範囲はこちら側に任せて、こちらの範囲は製配販連携協議会でよろしくお願いします、というような形で分担して行っています。製配販連携協議会では、この2年間ぐらい、こちらの4つのワーキンググループで動いてます。

「マスタ等:商流・物流におけるコード体系標準化WG」に関しては、基本的には物流に関する商品情報を管理します。例えば、パレットの上に、この製品だったら何ケース載って、何段まで積載できるとか、外箱のケースサイズというような基礎的な情報を、製配販へどうやってシームレスに渡していくのか、というような内容を検討して行うWGだと考えてください。
それから2つ目の、「物流資材等:物流資材の標準化および運用検討WG」に関しては、目指すことは外装サイズの標準化です。先ほど浜崎先生の方からヨーロッパでの標準化例のお話がありましたが、まさにそのようなことができると、大変効率化が進みますので、外装サイズの標準化を目指して、このような動きをしているところです。
3つ目の「商慣習等:取引透明化に向けた商慣習検討WG」というのは、一番わかりやすい例が、リードタイムのお話です。3年、4年ぐらい前までは、日用品業界では、当日午前中に受注を受けた製品は、翌日の午前中にお届けする運用をしていましたが、それを見直して、受注日の中1日後(翌々日)に納品することを、このWGで取り組んでいるところです。
最後に4つ目の「データ共有:データ共有による物流効率化検討WG」です。荷主のメーカーさんがこのような卸売業さんへ出荷して、戻りは空荷で走っているという情報を集めます。複数のメーカーさんの情報が集まると、「ここと、ここで(共同配送を)取り組めるのではないか」みたいなものがデータマイニングにより見つかります。日用品業界で言うと、2年から3年位前にライオンさんと花王さんが取り組んだ事例を発表されていますが、こうした例も、この製配販連携協議会WGから出てきました。このような国の動き、日用品業界の動きと、連携してロジスティクスEDI推進会議は、活動しています。
※中編(次号)へつづく

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第540号 「物流共同化の過去・現在・未来についての考察」~物流共同化実態調査研究報告書より~(後編)~(2024年9月17日発行) /logistics-540/ /logistics-540/#respond Tue, 17 Sep 2024 00:00:00 +0000 /?p=20567 執筆者 浜崎 章洋 (大阪産業大学 経営学部商学科 教授)  執筆者略歴 ▼ 略歴 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。 タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会 […]

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執筆者 浜崎 章洋
(大阪産業大学 経営学部商学科 教授)

 執筆者略歴 ▼
  • 略歴
    • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
    • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
    • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
    著書
    • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
    • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
    • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
    • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など
  • サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナー「ロジスティクス戦略の新動向」の講演内容をもとに編集しご案内しています。
  • 今回大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。
  • *前号(2024年9月5日発行 第539号)より
     

    目次

    • 5.物流2024年問題について
    • 6.物流2024年問題への対応
    • 7.さいごに・・・これからの物流共同化
    •   

      5.物流2024年問題について

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         では、物流2024年問題が進んでくると、どのような影響があるのでしょうか。
      ①物流会社とか運送会社の売り上げ、利益は減少するでしょう。②ドライバーは、労働時間の制限があるので、収入が減るでしょう。③需要と供給のバランスが悪くなるので、荷主の物流コストは上昇するでしょう。これらは、皆さんご承知の通りです。これは皆さん、頭を悩ましているかもしれませんが、お金で解決できることなのです。
      これらのは3点は、お金で解決できるのですが、皆さんが一番困ることは、荷物を運べなくなることですよね。荷物が運べなくなったら、商取引が完了しなくなる、できなくなるという恐れがあるかと思います。
      本日、荷主企業の方がいらっしゃいますが、怒らないで聞いてください。荷主企業の方は、2024年問題で、物流コスト上がる、運賃が上がると言われています。
      これは実は、今までの運賃とか物流費が安すぎたのです。上がるのでは無くて、今までが安すぎたので、適正な価格に、これから戻していこうとしているのです。逆に言うと、この30年間、荷主企業の方は、安い運賃と物流コストを享受されてこられたのです。物流コストが適正な価格水準に戻ってくるということなのです。この点は、くれぐれも誤解のないようにお願いします。

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        では、何もせずに黙って見ているのかというと、実は、行政も一生懸命取り組んでいます。トラックドライバーの労働時間改善の取り組みについては、全国47都道府県と中央省庁で、協議会(「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」)を作って5年ぐらい活動しています。現在も実施していますが、そういった活動を行っているとか、標準運賃を周知するとか、標準化を推進していきますとか、ホワイト物流の推進とか、行政も一生懸命頑張っているのです。
      これは、皆さん見たことがあるかと思いますが、「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20231226_1.pdf)で、政府、および関係省庁より、商慣習の見直しとか、物流の共同化等の具体的な施策が出ています。情報量が多いので、お時間がある時に、お目通しいただければと思います。

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         こちらは、今から半年ぐらい前、新聞の一面に出ておりましたが、こういった「物流革新緊急パッケージ」(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/kinkyu_package_1006.pdf)、及び、そのポイントということで、政府、および、国土交通省より出ています。

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         例えば、モーダルシフトにより、鉄道とか船舶での輸送量を増やしていきます、とか、荷主企業に物流経営責任者(CLO)を置くことを義務付けます、と打ち出しています。適正な運賃の確保に向けた値上げ、これはこの前の国会で承認された、ということもあり、政府も本腰を入れて取り組んでいるところです。それでは、産業界の皆さんは何をしているのかというと、例えば幹線輸送、特に長距離輸送のところを、モーダルシフト、鉄道とか船舶(内航海運)の利用拡大を推進しています。

      6.物流2024年問題への対応

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         もう一つ、ぜひ取り組んでほしいのが、今までのビジネスの時間のスケジュールを変えていくこと、具体的に言うと、納品のリードタイムを延長しませんかということです。
      今の皆さんのタイムスケジュールで言うと、今日の例えばお昼の12時とかに受注したものは、今日のうちに出荷作業をして、運送会社さんに荷渡して、翌日の午前中に納品ですね、こういうタイムスケジュールが多いかと思いますが、受注の締め切り時間は夕方の17時でもいいので、翌日に作業をして翌日の夕方、運送会社さんに荷渡して、翌々日納品にしたらどうですかという話です。
      今までは、当日受注し、午後に現場(出荷)作業をして、運送会社さんに荷渡して、翌日納品ですと、この場合、今日の受注量がいくつかわからないから、庫内で作業する人も見込みの人数だし、トラックも見込みで手配します、ピッタリ当てはまるとよいですが、不足したり、余ったりします。
      受注時間は、お昼ではなくて夕方でよいので、夕方に受注時間を締め切って、そして翌日の作業人員とトラックを手配したら、必要なだけの人員とトラックを準備すればよいのです。翌日の夕方に運送会社さんへ荷渡しして、翌々日に納品すればよいのです。
      このように、納品のリードタイムを変更することによって、過剰な庫内作業人員とかトラックあるいはトラックドライバーさんが大幅に効率化できますよ、ということです。この、納品のリードタイム、あるいはタイムスケジュールの見直しをされたらどうでしょうかということです。
      実際に、加工食品メーカーさんが、実施されています。味の素さんとかハウス食品さんとか、いわゆるF-LINE(https://www.f-line.tokyo.jp/)*3 へ参加されている企業さんが、積極的に取り組んでおられます。これらは、日用雑貨業界のメーカーさんにおいても、取り組んでおられます。
      (注釈)*3.食品関連メーカー5社が出資し、参加企業の物流事業を統合し、構築した共同物流ネットワーク
      なぜこういった取り組みが可能かというと、メーカーの納品先の卸さんにも在庫があり、小売業の物流センターにも在庫があるのです、それで、納品リードタイムが1日延長されても何とかなるのではないですか(物流は維持できる)、ということです。
      これには、くれぐれも間違わないでいただきたい点が二つあります。
      一つ目は、命に関わるような取り扱い商品があります。例えば、医薬品とか医療機器とかです。二つ目は、単独の企業でこういった交渉をしても、絶対に取引先から駄目だと言われます。業界団体として、あるいは、業界全体の意向として交渉しないと駄目ですよね。
      加工食品業界とか、日用雑貨業界とか、アパレル業界とかというように、業界全体で取り組まないと、個別に進めてもうまくいきません。あとは、こういった直送化とか共同化を、業界全体で積極的に進めていただきたいと思います。

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        では、2024年問題もあと2週間後と迫った中で、具体的に何をすればいいのか、現場で出来ることは何かというと、ここに掲げているように、①標準化とか、②平準化、③共同化、④省力化、⑤物流サービス・物流品質の見直し、を行い業務の効率化をするということです。
      物流の標準化では、パレットとか、外装表示とかの規格を標準化するということと、もう一つ、誰にでもできるようにするということに、標準化の意味があるのです。これは、裏返して言えぱ、ベテランの人でしかできない、属人化されているということですが、誰にでもできるようにするということは、非常に重要なことなのです。
      平準化は、できるだけ波動を小さくしましょうということですが、平準化や標準化の具体的な説明については、こちらの資料を参照ください。

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         次に、物流サービスとか物流品質の見直しと言いましたが、これは、本日会場に、荷主企業の方、物流会社の方、たくさん参加されていると思いますが、怒らないで聞いてください。

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         日本の物流サービスは過剰サービスだと思います。
         例えば、皆さん建設現場の前を、朝通る時は、いろんな建設現場向けの納品のトラックとかトレーラーがずっと並んでいて、渋滞しています。みんな朝8時納品なのです。8時に行ったら建設現場の方はラジオ体操をしていて、8時納品を誰も喜んでいないのです。
      皆さんの主要な取引先さんや、荷主企業さんが、朝8時半納品とか9時半納品とか、一生懸命取り組んでいるとします。これが本当に必要なんですか、着荷主さんに確認しましたか、ということなのです。昔は、在庫を持っていなかったから、開店前に商品を納品して欲しかったというお客さんも、今は在庫を持つようになったから、別に9時前(開店前)の納品でなくていいよということになるのです。
      そういった着荷主さんは、たくさんいらっしゃいます。営業部門が過剰サービスをしたり、あるいは、誤出荷率が50ppm以下とか言いますが、それは本当に必要なのですか、そのためにどれだけ手間をかけてるのですか、ということなのです。
      医薬品とか医療機器とか命に関わる商品は別ですが、こういったサービスを、皆さん荷主さんや営業部門から言われること、一生懸命愚直に取り組まれているのですが、これが、本当にする価値があるのかどうかということは、本当に疑問です。
      過去20年位前だったら、一生懸命やってできていたからよかったのですが、今は(働き方改革による労働時間の規制により、)できないのです。3年後5年後には、更にできなくなるのです。もし、どうしてもやらないといけないのだったら、それに見合った運賃だとか料金とか、費用をもらわないと、払わないと、本来できないということなのです。皆さんには少し耳の痛い話かもしれませんが、声を大にしてお伝えしておきたいと思います。

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         最後に、一貫パレチゼーションと包装モジュールについて、お話をしたいと思います。
      一貫パレチゼーションとは、パレット単位で流通、物流を行うことですから、メーカーの物流センター、卸さんの物流センターから店舗まで、一貫パレチゼーションを行うためには、包装モジュール化がとても重要なのです。
      包装モジュールとは、パレットのサイズに合わせて外装箱の大きさを決めていくというのものです。これは、中国のスーパーで撮ってきた写真なのですが、パレットのまま、店舗の売り場にドンと置かれているのです。
      例えば、日本でもディスカウントのリカーショップとかだと、第3のビールの特売とか、こんな形で売られています。だから、バラ積み、バラ下ろしをしないのです。パレット積み商品のフォークリフトによる荷役で、トラックから積み込みと、積み下ろし、店舗への納品を行い、日本でもIKEAさんの店舗では、一貫パレチゼーションで納品されています。
      こちらは、トルコで撮ってきた写真なのですが、これは韓国LGエレクトロニクス社の液晶テレビで、ユーロパレットにぴったりの外装箱のサイズですから、パレット単位で海上コンテナに乗ってパレット単位で積み下ろされて、このまま、家電量販店の店舗まで、フォークリフトの荷役により納品されています。
      これは、いわゆる一貫パレチゼーションをされています。一貫パレチゼーションをするためには、包装のモジュール化、つまり、パレットの大きさからダンボールの大きさを決めていき、ダンボールの大きさから、あるいはプラスチックのコンテナの大きさから、商品外装の大きさを決めていく、これを包装モジュールといいます。
      こちらは、ユーロパレットの大きさ(W800mm×D1200mm)を横方向に2分割、縦方向に3分割しているので、このダンボール箱の底面が40センチ☓40センチですね。
      これは、鶏のモモ肉を、スーパーで売っている写真ですが、この食品トレーが4つ載っていますから、一辺が約20センチ☓20センチというのがわかります。こんなふうにして商品外装の寸法を決めていくことを包装モジュールといいます。先程お見せしたものです。
      それで、何が言いたいのかというと、トラックの荷台の大きさからパレットの大きさ、パレットの大きさから外装箱の大きさ、外装箱の大きさから商品の大きさを決めていきます。これを包装モジュールと言い、これによりユニットロードシステムが活用され、物流効率化がされているということなのです。
      だから、一貫パレチゼーションを進めなさいと言うのは簡単ですが、包装モジュール化していないと、なかなか進められないということを、ぜひご承知おきいただきたいと思います。

      7.さいごに・・・これからの物流共同化

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          本日最後に、これからの物流共同化、ということで、今日参加の皆さんだけではなくて、荷主の営業部門とか、経営者の方にぜひ知ってほしいことは、これまでの物流サービスとか、物流コストは、今後とても維持できません、物流を止めないためには、産官学だけではなくて、消費者も交えて対応しないといけないということです。
      共同配送とか物流共同化、物流コストとか、環境負荷軽減だけではなくて、ドライバー不足への対策にもなってきます。従来の物流共同化は、販売物流が中心だったのですが、調達物流とか、幹線物流、館内物流とか、返品物流というように、今後どんどん拡大していくと思われます。
      そして、今私が大いに期待しているのが、AIとかロボット化とか新しい技術です。新しい、物流のベンチャー企業の方が、いろいろな取り組みをされていますので、こういった方々の、今後の活躍により、より高品質・低コストの共同化の実現が期待されるのかなと思っています。
      本日は長時間に渡りご清聴いただき、どうもありがとうございました。以上を持って、終了させていただきます。

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      (C)2024 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.

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    第539号 「物流共同化の過去・現在・未来についての考察」~物流共同化実態調査研究報告書より~(中編)~(2024年9月5日発行) /logistics-539/ /logistics-539/#respond Thu, 05 Sep 2024 00:00:00 +0000 /?p=20526 執筆者 浜崎 章洋 (大阪産業大学 経営学部商学科 教授)  執筆者略歴 ▼ 略歴 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。 タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会 […]

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    執筆者 浜崎 章洋
    (大阪産業大学 経営学部商学科 教授)

     執筆者略歴 ▼
    • 略歴
      • 1969年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。
      • タキイ種苗、日本ロジスティクスシステム協会、コンサルティング会社設立を経て現職。
      • 2004年度、2013年度日本物流学会賞、第12回鉄道貨物振興奨励賞特別賞受賞。
      著書
      • 『改定第2版 ロジスティクスの基礎知識』(海事プレス社)
      • 『物流コストの算定・管理のすべて』(共著、創成社)
      • 『ロジスティクス・オペレーション2級』(共著、社会保険研究所)
      • 『通販物流』(共著、海事プレス社) など
  • サカタグループ2024年3月15日開催 第27回ワークショップ/セミナー「ロジスティクス戦略の新動向」の講演内容をもとに編集しご案内しています。
  • 今回大阪産業大学 経営学部商学科 教授 浜崎 章洋様の講演内容を計3回に分けて掲載いたします。
  • *前号(2024年8月20日発行 第538号)より
     

    目次

    • 2.物流共同化研究
    • 3.物流共同化を阻害する要因
    • 4.近年の物流共同化の事例
    •   

      2.物流共同化研究

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        では、具体的に、我々が行っている物流共同化の研究について、紹介していきたいと思います。私は日本物流学会に所属しておりまして、2006年から、今から20年近く前から物流共同化のプロジェクトを開始しました。一番最初に報告書を出したのが2008年です。
      2008年に先ほどお話した津久井英喜先生、東京経済大学の中光政先生他が中心となって、『物流共同化実態調査研究報告書』を出されました。この報告書は、作成するために、大体2年ぐらい前から調査を始めています。
      私はちょうどこの2005年に、東京に単身赴任していたこともあって、津久井先生にお声がけいただいて、このプロジェクトに一メンバーとして参画させていただきました。物流学会で初めての調査だったので、2008年の報告書が出る以前の、過去数年間の事例をさかのぼって全部調査を行って、このような報告書が出来上がりました。
      次に、第2次ということで、2009年から2012年まで、東京経済大学の中先生、そして津久井先生、関西では当時、立命館大学におられた土井先生が、集まって2012年に『物流共同化実態調査研究報告書』を出しました。
      これは、事例を集約したもので、実際に物流共同化を行っている企業の個別事例を調査して報告書を書いたり、物流共同化の効果算定をしたり、物流の共同化あるいは共同配送等に関する文献、要望について調査を行ったものです。

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        これも報告書がでています。このときも私はメンバーとして参画しています。2018年、今から5年程前に報告書を作成しました。このとき事務局は我々が担当し、前回と同様に事例を収集して、実際に物流共同化をされている企業様13社に調査をさせていただいて、報告書を作成しています。物流共同化に関する書籍、論文、業界誌の記事を全部集めて整理し、報告書にとりまとめています。
      そして今、正に、2023年度の調査報告書を作成しているところです。実は今日も、行きの新幹線で原稿の最終チェックをしていて、来週早々に入稿し今月末に発刊する予定です。

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         これ以外に日本物流学会の一つの研究会として、関西共同物流研究会があります。この中では、物流共同化をされている企業の方を講師に招いて、講演会形式で研究会を行っています。2013年から7年間実施してきましたが、その後コロナの影響で開催を中断しています。物流共同化の、実際の事例を発表して講演いただく研究会という趣旨のため、オンラインにそぐわないということで、クローズドで開催しています。現在少し中断していますが、この2023年度の報告書が完成後、再開したいと思っています。
      もう一つは、関西共同物流研究会の幹事のメンバーが集まって、関西物流共同化ネットワークという活動を行っていまして、ここで2ヶ月に1回、「物流共同化研究」という機関誌を発刊し、PDFデータをメール配信しています。例えば、新聞、ビジネス誌、ネット記事に出てきた、物流共同化、共同配送、貨客混載等の物流共同化に関するキーワードの記事を集めて、日付順に並べて掲載しています。
      大体25ページ位ありますが、2ヶ月に1回発刊しメール配信してます。これを5年分整理したものを、先ほどの日本物流学会が出している、『物流共同化実態調査研究報告書』に入れています。
      また、文献整理として、調査対象期間に発刊、発表された物流共同化に関する書籍、論文、雑誌の記事の一覧表を作っています。例えば、本の中の数ページに、物流共同化とか共同配送の記載があれば、全てチェックしていますので、我々は、物流とかロジスティクスに関する書籍は、ほぼすべて目を通していると思っています。
      その他に、2012年の報告書では、物流共同化の用語の整理とか、物流共同化の効果算定などを実施しています。共同物流に関するいろいろな事例を5年分ぐらい集めてパターンごとに整理し、例えば共同出資で共同物流を始めているとか、組合を作っている等、そういったパターン毎に整理しています。

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         今日はその中で、どのような事例があるのかご紹介したいと思います。2012年と2018年発刊分と、現在準備中の2023年の事例を集計してきました。
      大体、通常500以上ある記事の中から整理しています。2012年は合計88事例で、2018年は250事例、2023年は531事例ということで、若干の期間の差はありますが、傾向としては、物流共同化に関するニュース、記事が、明らかに増えていることがわかるかと思います。
      では、実際にどんなパターンがあるのかというと、例えば荷主企業が、共同出資して共同の物流運営会社を作りますというパターンは今でもあるのですが、そんなに多くはないのです。あるいは、株式会社ではなくて、協同組合とか協議会とかを作って取り組んでいく、これも今でもあるのですが、そんなに多くはないのです。また、流通業の方が一括物流を始めることは、今当たり前になってきたので、特に記事にならないのかもしれません。物流会社さんが主導し、共同化を推進していくというケースは、件数としては多くなってきています。
      物流会社さんではないですが、個別の企業が複数集まって共同化に取り組んでいこうというケースは、130件あります。例えば、将来の経営統合とかを含めて、物流共同化を進めていきましょうというケースは、増加傾向にあるのです。
      2012年にはなかったのですが、貨客混載、例えば路線バスで宅配の貨物を運ぶとか、ハイウェイバスで産地の名産品を運ぶとか、旅客電車で貨物を運ぶとか、そういった貨客混載というのは、2018年の調査から出てくるようになりました。現在、非常に件数が多い状況です。
      今回、この5年間の調査で新たに出てきたことは、製造業とかサービス業の1企業が、物流共同化を始めていくというケースで、合計49件あります。
      これはどんなことかというと、イメージで言うとAmazonさんが自分たちで物流網を持っています。うちの物流網を活用してもらっていいですよ、この指止まれ、みたいな感じです。あるいは、全く荷主企業でも何でもない、例えばITベンチャー企業さんが、物流マッチングサービスを始めますとか、共同配送のプラットフォームを作りますから皆さん参加してください、みたいなケースが、案件としてすごく増えています。このような傾向がでてきています。
      それと、9番、これも今回の新たな例として出てきたのですが、例えば、経済産業省や都道府県、あるいは、ロジスティクスシステム協会が、物流共同化の取り組みについて賞を出しますよとか、補助金を出します、という事例は、今回件数が非常に増えています。この9番については、いきなり出てきたのではなくて、既に実施されていたもので、以前はこの1から8のどこかに入っていたものと思います。
      物流共同化に関する、報道の記事として、今回非常に件数が多かったので、新たに(パターンを作成して)取り上げている次第です。実際に、本、論文とか雑誌の記事とか、どうなのかと言うと、物流共同化というタイトルではなくて、物流とかロジスティクス、サプライチェーンに関連する書籍の中で、例えば、文章中の章や節に、物流共同化とか共同配送とか、貨客混載とかが入っている、もしくは、サブタイトルで入ってたりする、そういったものを全てでチェックして集計しています。

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         書籍でいうと、2012年だと25冊、2018年では40冊、2023年だと41冊位あります。ということで、10年前に比べるとやはり、物流共同化に関連する書籍も増えているということがわかると思います。
      論文に関しては、倍以上に増えています。逆に言うと、10年前ぐらいは、物流共同化に関するテーマがあまりなかったということが言えるかと思います。
      新聞とか雑誌に関する記事については、10年ぐらい前から、一定の頻度で物流共同化に関する記事が、出ているということが、これを見てわかるかと思います。

      3.物流共同化を阻害する要因

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        では、共同配送や物流共同化を阻害する要因として、どんなことが挙げられるのかということですが、荷主企業の方がよく言われるのは、「競合他社に納品の価格、出荷数がわかってしまうからあまりやりたくない」とか、「共同配送するのはよいが、自社商品の納品条件や、出荷時間優先してもらえるのか」とか、営業販売部門からは、「熾烈な販売競争をしているのに、ライバル企業と一緒に商品を運ぶのは困難」、といったようなことが反対意見として出てきます。実は、これは全部対応できるわけなのです。
      一番目の納品価格とか納品数量がわかってしまいますよというのは、実際に、委託されている物流会社、運送会社と秘密保持契約を締結すれば解決する話なのです。
      二番目の自社の納品条件とか出荷時間を優先できるのか、ということなのですが、こんな事を言ってる場合じゃないのです、今のままでは運べなくなるのです。近い将来納品できなくなる(リスクが有る)のですから、こんな事を言ってる場合ではないのです。
      三番目の熾烈な競争をしているのに、他社製品と一緒に商品を運ぶのは困難、ということなのですが、こういった感情論とか、精神論は、実は対策が難しいのです。だから、どうすればいいのか、これについては一旦置いておきます。
      最後にもう一つ、観念的なものや感情的なものではなくて、共同化を阻害する要因の一つに、標準化とか、情報システムとか、運用といったところも大きいと思います。実際の運用ルールとか、荷姿とか伝票とか外装表示とか、こういったところを、実務面で統一化できていないと、物流共同化は難しいと思っています。
      私は、企業の方に誘われて、ヨーロッパとか、アメリカ、中国、インドの、物流視察に行くことがあります。コロナ禍になる前は、毎年、ヨーロッパへ行っていたのですが、ヨーロッパでは、物流の標準化が非常に進んでいる、ということを少しお話ししたいと思います。
      こちらは、皆さんよく見るプラスチックコンテナです。スーパーのバックヤードとかで、よく見るものです。これは、ヨーロッパの小売業さんの物流センターの見学に行ったときに、見せていただいたのですが、プラスチックコンテナの種類は、全部で3パターンしかないのです。
      これは、縦と横がすべて同じサイズなのですが、底が深いものと浅いもの、それと中くらいのものの計3種類だけなのです。例えば、野菜の中でも、大きい白菜とかスイカとかでしたら、底が深いもの、胡瓜とか人参とかは底が浅いもの、レタスだとこの中間ぐらいのもの、こんなふうに使い分けていますが、高さが違うだけで、底面の大きさが同じサイズなのです。これは、標準化されているということなのです。
      一方、日本のスーパーのバックヤードへいくと、プラスチックコンテナは、こんなにたくさんの種類があります。これは皆さん価値がありますか? うどんを納品するトレーで、豆腐が納品されますと、皆さん怒りますか?、誰も怒らないでしょう。そもそも、我々消費者は、どのトレーで納品されるのかわかりません。これらは、店舗からすると、個別に管理しないといけないのです。例えば、豆腐の納品業者さん用のトレーはここに置いて、牛乳の納品のトレーはここに置いて、等のように、個別にコンテナ/トレーを管理しないといけないので、大変手間がかかります。どちらが効率がいいですか、ということなのです。

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         こういった標準化が遅れていると、物流の共同化が阻害されるのではないかと思っています。例えば、ヨーロッパで活用されているユーロパレットW800☓D1200mmを、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、トルコ、ポーランドでは、みなさん使用しています。
      ユーロパレットにはコンテナが、縦方向に2個、横方向に2個並ぶので、このプラスチックコンテナの底面サイズは、W400☓D600mm で、ユーロパレットにぴったりのサイズに収まっています。さらにそれを載せているカーゴ台車ですが、底面サイズは実はユーロパレットのサイズの丁度半分なのです。
      このため、トラックの荷台にユーロパレットを一貫パレチゼーションで乗せて、かつ、カーゴ台車を2台乗せたら、ぴったり荷台に収まるということです。もっと言うと、このパレットの大きさはどこから来ているのというと、トラックの荷台の大きさからパレットの大きさが決まって、パレットの大きさから外装箱(コンテナ)の大きさが決まっています。
      このようにして輸送包装寸法を定めることを、包装モジュール化といい、このように包装の標準化を進めていきます。これについては、後で事例を詳しく説明したいと思います。

      4.近年の物流共同化の事例

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         次に、ここ10年程前から、館内物流というサービスが出てきました。大型の商業ビルとかオフィスビルでは、それぞれ個別に委託された物流会社、宅配会社がビル内のテナントへ直接納品するのではなくて、その建物の中の、例えば地下3階の共同納品センターに納品して、その後の「縦持ち」(建物内の上下の移動)は、その館内物流を請け負っている物流会社が行い、まとめて納品する、こういった縦の共同配送も増えています。
      これは、新しいオフィスビルや商業ビルでは、、大体そういった仕組みを導入しています。これによって、納品のトラック台数が減り、荷捌きの駐車場のスペースが削減でき、さらに交通渋滞も減ります、ということで、こういった館内物流サービスの導入が増えてきているのです。

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      この10年位で共同物流関連で、特に記事が多いのが「貨客混載」です。路線バスに宅配会社さんが、拠点間輸送の貨物を載せるということで、特に過疎化が進んでいる地域での取り組みが増えています。
      例えば、ヤマト運輸、佐川急便の現地の営業所まで行くのに、片道1時間位かかるから、そこを通っている路線バスに、運送会社の現地の営業所まで運んでもらって、そこから、山間部にある納品先へ、宅配便のドライバーが配達するようなケースが非常に増えています。これは、宅配業者にすると、片道1時間の、しかも物量の少ない荷物を、現地の営業所まで運ばなくて済むのと、路線バスの会社にとっては、この宅配便の貨物を運ぶことによって、新たな収益源となって、路線バスの維持に役立つということで、非常に件数が増えています。なお、ヤマト運輸では、「貨客混載」を「客貨混載」と呼んで取組を拡大していますが、記事を検索するとたくさん出てきます。
      路線バス以外でも、鉄道を利用したものや、タクシーを利用したものがあったりとか、宅配の貨物だけではなくて、東北、北陸とか、九州の南部とかから都心部に向けて高速バス、いわゆるハイウェイバスで、産地のものを輸送するという事例もあります。例えば、都心の百貨店の店舗で、東北で採れた朝採りの農産物を、ハイウェイバスで持ってきて、その日のお昼から販売するようなことも増えています。
      以上のような形で、この「過客混載」は、今、宅配貨物だけではなく、いろいろな面での取組みが非常に増えています。

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      では、コンテナラウンドユースを、皆さんご存知でしょうか。輸入貨物を海上コンテナで内陸部まで持っていき、貨物を降ろした後に、空のコンテナをまた港まで持って行く輸送費が勿体ないから、この空コンテナを、今度輸出される企業さんのところへ、そのまま横持ちして、そこで輸出貨物を積み込んで港まで持っていく、そうすると空コンテナの港までの往復輸送がなくなります、という取組みです。このコンテナラウンドユースは、非常に増えてきています。後
      あるいは、中継輸送と言われるもので、大阪から東京へ行く貨物と、東京から大阪行く貨物があって、それぞれの車で運んで帰ってくると、ドライバーさんは1泊2日かかりますが、途中の静岡で待ち合わせをして、トラックを乗り換えて元の出発地へ戻る、そうすることにより日帰りで帰れるようになります、という形の中継輸送の事例がニュースで放送され、非常に増えてきている、ということをお伝えしたいと思います。
      ※後編(次号)へつづく



      (C)2024 Akihiro Hamasaki & Sakata Warehouse, Inc.

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